Webサービスを運用していたり、受託制作をやっていると利用規約や契約書などで法律の専門家に内容の確認をした方が良いことが多々あります。ある程度自分たちの法的な知識の元に作成してもやはりそこは素人で、法的な解釈は間違っていることもよくあります。
昨年の11月に「Web業界 受注契約の教科書」という書籍の執筆に携わらせていただいたのですが、改めて自分たちの判断が素人判断であると認識し、IT業界と法律の解釈は非常に難しいと思いました。
法的なことを相談する際、弁護士の先生にお願いすることになるかと思うのですが、一概に弁護士といってもそれぞれ得意分野があるようでIT業界のことを相談するにはそれなりに選ばないといけません。
私も以前は詳しくなかったのですが、弁護士というと法律を知っている先生という認識しかなくて、何の分野に詳しいとかは関係なく、今までの場数とかそういうものが多い先生とか有名な先生が良いのかな、と漠然と思っていました。
しかしながら実際のトラブルのお話と弁護士のお話を伺っていると、選ぶ弁護士によって制作会社の負担や法的に照らし合わせた解釈も大きく変わってくることがあると感じました。
そこで「Web業界 受注契約の教科書」に関わって、IT業界のことを弁護士に相談するなら、こんなポイントを意識したいというところをまとめてみました。
1. 専門用語がある程度通じること。
制作をしていても同様なのですが、やはりIT業界は専門用語が通じないと話になりません。ある程度業界用語や内容を理解されている方に相談するのが良いでしょう。
システムなどのかなりテクニカルな仕様や条件などは正しく内容を理解していただかないと、結局文章の書き方レベルでのアドバイスしかいただけないこともありますので注意が必要です。
(もちろん契約などの言い回し、書き方は重要ですが、一番見て欲しい相談したい部分についてはスルーされてしまったりすると基も甲もありませんので。)
2. 今までの経験で類似や同業界の判例を取り扱ったことがあること。
IT業界は日々サービスが進歩しており、今までにないものを作ろうとどこの会社もがんばっています。今までにないものを作ればそこに生まれるトラブルや規約なども今までにないものであったりします。
Web制作などにおいては、契約書があっても契約段階では納品物があるわけでもなく、すべて電子データや提案レベルのことなので、トラブルの内容も様々です。ですので、同業界の判例を多く持っていらっしゃる先生は心強いと思います。
IT業界で取り扱っているサービスがどういった性質のもので法的にはどこに当てはまるのか、やはり判例をお持ちの先生に相談したほうが良いと思います。
3. 例えばWebサービスであれば概略をある程度把握することができること。
一制作者が弁護士に直接連絡をするわけではありません。恐らくそういった事態になったとき判断するのは経営者でしょう。
事細かに相談内容を経営者が説明できれば問題ないのですが、実際の現場レベルのことを説明できるのは現場の人になるかと思います。
サーバの意味や、そもそもそのWebサービスがどういった趣旨のものなのかというようなことを即座に理解してもらえないと、説明や理解をしてもらうのに制作者の時間までが多くとられてしまいます。
Webサービスというものを使ったこともあり、ある程度精通している方が望ましいでしょう。
使ったことがない方に理解していただくのは相当に骨が折れます。
執筆に携わらせていただき、改めて読み直してみると、よく法律をちょっとだけ知っていて「こうではないか?」という方もいらっしゃいますが、やはり素人の予測でしかありません。
法の専門家に言わせればまったく異なる見解であったりもします。
所詮は素人判断です。
裁判などは最終手段ですが、専門家を通じて法的な根拠や自分たちが正しいのだということを認識しているかいないかでは、交渉する際の気持ちの持ちようも大きく異なってきます。
最近では共著でご一緒させていただいた藤井先生のようなITに強い弁護士の先生もいらっしゃいます。
弁護士というと何かトラブルや裁判で法的に訴える際にお願いするイメージが強いですが、トラブルだけでなくWebサービスをこれから作ろうとしている会社でも利用規約などはチェックしていただいたほうが良いかと思います。
そんなときはちょっと詳しい先生にお願いするのが良いですね。
[PR]ちなみにこの本にはたいていのトラブルと弁護士の先生の解説が載っているので相談する前に読んでみても損はないかと思います。