今年も残すところわずかとなってしまいました。
こうやって一年が経ってしまおうとすると、昨年の暮れのことがまるで昨日のことのようにも感じられます。
さて、今年も色々なサイトやサービスを制作してきたわけですが、とりわけ制作時間について考えさせられることが多かったように思います。
考えさせられるということは、事が思い通りに進まなかったことが多かったわけで、反省ということになるわけですが、今回は時間と制作について書いてみたいと思います。
実際に現場で制作に携わっているとディレクターという立場はクリエイティブにこだわり過ぎて予想以上の時間を制作にとられることが多いように思います。もちろん『こだわる』、ということは非常によいことです。
ただ、ビジネスで制作している以上、時間とお金を切って考えることは出来ません。
受託制作はこれから制作するであろうものに対して、人がこれだけの時間動くであろう時間を工数として見積り金額を算出します。
会社によってはプロジェクトマネージャーがお金関係を管理していて、ディレクターはお金のことは管理せず、制作だけを管理するという会社もあります。ディレクターがきちんと工数を意識出来ればよいですが、お金はお金、制作は制作となってしまい、こだわりと時間が比例してしまうと、費用と時間が反比例になってしまうこともあります。
お金の話だけならともかく、制作者も人間ですので終わりの見えない作業、長時間労働はミスや品質劣化にもつながってくるので制作会社としてはデメリットばかりです。
そこで案件を管理するディレクターの役割が重要になってきます。
ディレクターというとワイヤーフレームを作ったり、デザインのここの面を揃えて、とかクリエイティブチェックをする人、という印象を持たれる方が多いと思います。
間違いではありませんが、社内的には『時間を管理する』ということをまず一番重要だと考えています。
では、時間を管理するということはどういうことでしょうか。
制作していて気が付いたことを書いてみます。
当たり前のことだろ、と思われるかも知れませんが、その当たり前の何かがうまく動かないから長時間労働にもつながるのかと思っています。
ディレクターという人は間接的な役割なので会社によって要求される役割も様々です。
どの会社にも当てはまるわけではないと思いますが、参考までに。
制作のゴール(落とし所)を定める。
見積もり工数を度外視して制作をしてしまうとこれはビジネスではなく、趣味の世界に入ってしまいます。
使える時間の中でいかに良い制作物を作るか、作るためにいかに効率良く進めるかがディレクターの本分かと思っています。
例えばデザイナーが制作に煮詰まってしまい、とことん嵌ってしまった時、最終的な落としどころを定めてあげるのもディレクターの役割です。
社内で制作していても、なかなかディレクターのイメージとデザイナーのイメージが摺りあわず、予想以上に制作日数がかかったりすることもあります。
こういった時、何回作ってもダメ出しをされてどういう方向に向かっているのか?いつまで作業を進めるのか制作する側にとってみると先が見えない話になってしまい、モチベーションも下がってきてしまいます。
時間と品質を見極めて、最終的な制作物としてどこで良しとするか、ゴールを定めてあげるのはディレクターの重要な役目だと思います。
制作者がすべて自分で決められれば間接的に関わる人は不要です。
クライアントを納得させる。
落とし所の話に近いものありますが、クライアントに対して修正がきた場合、言われるがままに修正を加えていくと、これもまたゴールが見えない作業になってきたりします。
いかにして制作物に対して納得していただけるか?
落とし所をつけられるか?というのもディレクターの大切な仕事です。
場合によっては営業時間に関係なく修正を余議なくされることもありますが、このあたりの修正スケジュールをきちんと話し合い、クライアントとゴールを共有、納得してもらうことが重要です。
優先順位をきちんと。
制作者は大方、自分の好きな作業からやろうとします。
それはそうでしょう。人間そういうものです。
ただ、クライアントの提出期限などもありますので、どの作業を先に進めてほしいかというところはきちんと定めたいところです。
複数の案件を同時に進行していると、かなりミクロな作業で指定することになります。
この修正を割り込みで先にやって、そのあとにこちらの制作を1ページ進めてもらって、といった具合にきちんと時間を区切って作業を管理することは後々の時間のゆとりを生むことにもつながりますので非常に重要です。
この順序で進めた方が私は効率が良いんだ!と主張する制作者もいると思います。
そういった時でも、後々のスケジュールなどを見据えて、「いや、この順番でやってくれ!」ときちんと指示出来る力は必要です。
一緒に悩まない。
悩んでもよいですが、制作しているデザイナーなどが悩んでいたら少なくとも自分は冷静に判断できるようにしたいところです。
一緒に意見を交わし、方向性を模索するというのもモノ作りの楽しみのひとつではありますし、悪いことではありません。
しかしながら場合によっては一緒に悩んでしまうことによってゴールが見えなくなってきたりします。
一緒に悩むことで制作している人間もどう進めていったら良いか分からないとという無限地獄に陥ったりします。
悩んでも良いですが、陰で悩んで一緒に悩むのはやめた方がよいと思います。
ディレクターが悩んだ状態で間に合わせた制作物は大体クライアントからNGをもらいますので。。。
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スケジュールをうまく立てる、というのもひとつの残業回避策ですが、ゼロベースで制作しているものですので、うまく進まないことも多々あります。
そういった時に制作を管理するディレクターがうまく時間を管理できると素敵ですね。
制作業界=残業が多いというイメージがあります。
確かに残業しないといけない場合もありますが、調整すれば極力回避できると思っています。
勤務時間中に集中していないがために終わらなかった、、などの理由であればともかく、残業するということは内部、外部に何かしら原因があるわけです。
もちろん帰ること自体が目標ではありません。
受託制作においてはクライアントに喜ばれるもの、納得していただけるものを提供するのが一番の目標です。
ただ、無駄なく時間を使うことで制作者にとっては気持ちよく働け、最終的には制作物の品質にもつながるのではないかな、と思います。
飲み会や懇親会でチームワークを図ることも良いかも知れませんが、今日の目標とゴールの時間が見えていることが制作会社に勤めるに人間にとって一番うれしかったりもします。
上司が早く帰る。
今日は帰れるのに上司が残っているからちょっと様子見で残ってから帰ったりする方もいると思います。
その気持ちはどちらの立場も何となくわかります。
自分がガシガシ仕事しているのにプイっと帰られたら良い思いしないでしょう。頭ではわかっていても人間そういうものです。
逆に上司が帰ったら、その10分後くらいに即効で帰ったりする気持ちもよく分かります。
だから来年は私は極力一番に帰るようにしていきたいと思っています。
みんなが早く帰れるように。