Webディレクターがエンジニアに工数を聞く際に気を付けたいこと。

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Web制作においてプログラミングが必要なシステムなどが絡むと、その規模やクライアントの要望によって制作現場ではたいていひと悶着あったりします。
それは見積り作成時、仕様策定時、開発完了後、タイミングは様々です。

特に見積り作成時には工数計算する際にエンジニアに工数を確認すると思うのですが、そのままエンジニアの工数を計上すると到底クライアントの予算に合わず、やりたいことと金額が釣り合わなくなったりします。

こういったことで「クライアントとエンジニアの狭間」または「上司とエンジニアの狭間」で四苦八苦しているディレクターも多いことと思います。

当社内でもちょこちょこあるのは、エンジニアとのやり取りの間で作業工数に関して「これは多すぎないか?」「本当にこんなにかかるの?」といったやり取りです。

もちろん工数を多めに取っておくことが出来ればそれに越したことはありません。
ただ、Web制作においてはそれほどの予算をちょっとしたシステムに計上されないことが多いです。

無理な費用で受注すると実際現場の人間は報われませんので、それはよくないと思います。
ですが、妥当な工数を制作現場を管理している立場できちんと導き出すのもディレクターの仕事ではないかと思っています。

今回はエンジニアの立場から、的確な工数を引き出すためのディレクターのコミュニケーションについて書いてみたいと思います。
ここではデザイナー、エンジニア、ディレクターの3人程度のチームで見積もりから制作を行った場合のことを想定しています。

 

そのシステムは何をしたいのか?どうして作りたいのか?を伝える。

これはデザイナーでもいえることですが、唐突に仕様書を見せられて「これを作るのにどのくらい工数かかる?」と聞かれても、文書上記載されている内容に対して「出来る・出来ない」「時間がどのくらいかかりそう」としか答えようがありません。

クライアントは何をしたいのか?どうしてそれを作りたいのか?
などなどディレクターの口から伝えたうえで仕様書を確認してもらうことは大切です。

システムの意義が伝わっていないと、出来ないことに対しての代替案を引き出すことも難しいので、きちんとそのシステムの目的とやりたいことも伝えてあげましょう。
デザインする際にターゲットなどをきちんと伝えてあげることが重要であるように何をしたいのかを理解したうえで、どうしたらその要望を実現出来るのか、と考えられると思います。

感情論にはなってしまいますが、きちんと説明もせずに仕様書を読んで工数出して、という指示に対して心良く思わない方もいます。
そういう時に、現実的ではなかろうという工数を感情的に出してしまう場合もありますので、いずれにしてもちゃんと説明は必要ですね。

 

どうしてその工数がかかるのか?短縮する方法はあるのか?

クライアントの予算に対して、見積もり金額が釣り合わない場合は多々あります。
もちろん、無理に工数を減らして予算に合わせるなんていうことは言語道断ですが、どうしても受注したい場合もあると思います。

そういった時、どうしたら同様の機能を予算内で実現することが出来るのか、エンジニアと一緒に考えることが必要です。
後述しますが、エンジニアに限らず作業する人間というのはバッファを持たせた工数を伝えます。

もちろんバッファを持つことは重要なので、工数そのものを条件なしに引き下げるわけにはいきません。
そういった時、まずは実際の開発がどういった影響のある規模のものであって、確認にどのくらいかかり、バッファをどのくらい持たせているのか工数の内訳をヒアリングすると良いでしょう。

というのは、持たせるバッファというのは本人よりもディレクターなどは日頃の品質などを考慮したうえで客観的に計上するのが一番的確であったりするからです。
また、内訳をきちんと把握することでクライアントとの値段交渉の際にどこまでの作業をすることで費用的にお互い歩み寄れるか交渉もしやすくなります。

 

面倒臭いのか?それとも技術的な根拠がつかめないのか?

前述した通り、基本的にはエンジニアに限らず作業工数を見積もる場合、予期しない不具合などを考慮してバッファを持たせて多めに工数を伝えます。
これは当然のことではあります。

ただ、そのシステムの動作仕様に対して、いつもの工数より極端に工数が多かった場合、

「時間がかかる=処理を作るのが面倒」
「時間がかかる=技術的にやったことがないので調査が必要」

の2パターンがあります。

前者の場合、実際に着手してみると予想以上に早く終わり、工数がその1/2くらいで済んでしまったりすることもあります。

もちろんバッファを持つことは大切ですが、必要以上のバッファを持った工数の場合もあるので、きちんとヒアリングのうえ根拠をもった工数を計上することが、クライアントへの説明の際にも有効になります。
実際にはかからない工数を計上したことで予算と合わず失注する、なんていうこともありますので、そこはきちんと話をして工数に妥当性があるのか判断したいところです。

 

予想以上に工数のかからない作業は要注意。

前項の逆ですが、自分がやったことのあるものに対しては「すぐ出来ますよ!」と予想以上に少ない工数を伝えてくるエンジニアもいます。
もちろん作業が早いことは望ましいことですが、やはり不具合が発生した時のバッファなどは日頃の品質などをディレクターのほうで考慮のうえ敢えてバッファ工数を計上するのが望ましいです。

簡単と思っていたはずが予想していない部分に影響があって、結局見積もった工数の2倍の工数がかかってしまった、なんてことも考えられます。

 

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デザインでもそうですが、工数計算というのは非常に難しいです。
根拠があってなさそうで、それが妥当なのか、という判断も人によって異なります。

見積もった工数に対して実工数が伴わないと、現場で制作管理しているディレクターが責任を問われたりもします。
特にシステムについては専門知識が必要ということでエンジニアの出した工数をそのまま計上してしまう方もいらっしゃるでしょう。

専門知識がなくともヒアリングすることで作業の影響範囲ややらなければいけないことも明確化していき、クライアントにも説明はしやすくなると思います。
また、ヒアリングすることでエンジニアの作業についても理解を深めることになると思いますので、見積もりの際にはちょっとしたヒアリングに注意すると良いと思います。

執筆者:高本

株式会社8bit 取締役の高本です。 社内のWebサービス企画、プログラミングや、売上・請求管理にいたるまで幅広く担当しております。

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