CMSを導入する/しない CMS導入前に念を押して確認したいこと

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Webサイトの制作の時にお知らせなどをクライアントの担当者が簡単に更新できるようCMSを導入することはよくあります。

当社でもWebサイト制作の場合、独自開発のCMSをカスタマイズして導入しています。
ただ最近、CMSの導入もケースバイエースではあるな、と感じています。

たとえば、Web専門部隊があるような企業のWebサイトであれば、導入により更新の効率が上がるでしょう。
でも、実務と兼務するような形で担当者が更新する場合は、逆に導入することによってその担当者の実務に影響を及ぼすようなことになり、逆にデメリットになることもあります。

CMSは導入すればHTMLの知識を知らなくてもWebサイトの更新が可能で誰でも運用できる、というものですが、このCMSの操作を覚えられるかどうかというのはまた別です。

個人的な経験も踏まえて、CMSの導入前に確認したいことをピックアップしてみました。

ただ単に導入してクライアントにメリットがあるのか?デメリットにはならないか?
そういったことをきちんと考えて提案してあげる必要があると思います。

なんでもかんでも導入すれば良いってもんでもなかったりしますので!


覚える時間があるか?

HTMLタグの知識がなくても出来るから簡単、といっても操作を覚える必要はあります。
たとえば海外製だったりインターフェイスによって、制作側の我々はいつも慣れ親しんでいるから簡単と思っても、担当者の方が分かりにくい、覚えにくいと感じる場合があります。

結局覚える時間をきっちり取れない、業務の一貫として把握していただく時間を取れないような場合だと考えものです。
制作した側にとっても、このCMSの操作方法がわからず電話対応やサポートが必要なようであれば、せっかくのCMSの導入も本末転倒になってしまいます。

本当に操作方法を覚える時間を人員がいるのか?というところはよくよく確認したいところです。

簡単というから本業の片手間にサクッと出来るかと思ったら、意外と難しかったからそっちで更新してくんない?なんて話はよくあります。

更新する方のリテラシー

覚える時間にもかかってくるのですが、普段ブログをやっていたりして、なんとなく更新画面などに慣れている方であれば問題ないですが、普段まったくそういったWebサービスなどに触れていない人にとってはCMSを使いこなすのが困難な場合があります。

我々制作業界の人間にとっては「ここまで簡単なのに、、、」と思っても、慣れていないとしっくり来ない、なんか難しい、と感じることはあるようです。
ですので、どのくらいの知識やリテラシーがあるのか十分に確認してから導入を検討したほうがよいと思います。

欲しいというから導入はしたけれど、結局よくわからなくてCMSを使って制作した会社がメンテナンスをするなんてことになったら、せっかく導入したメリットはなくなります。
むしろ普通にメンテナンス費用払ってやってもらったほうが良かったんじゃない?という話にもなりかねません。

ページレイアウトをどこまで自由にしたいか?

CMSを導入すれば何でも思った通りにレイアウトできる!という売りのCMSはあります。
CMSによっては画像やテキストをドラッグドロップなどでレイアウトできるものもあるので、大抵のことはできてしまうかも知れません。

でも、デザインが必要なもの、ページを崩してしまうリスクが大きいページなどはあらかじめリスクを説明しておく必要があります。
自分たちにとっては簡単に自由にレイアウトできる、と考えていても、クライアントには難しかったり、FLASHを含むコンテンツなども自由自在に自分たちで作れる、と解釈されてしまう場合もあります。

CMSを導入しても、実際にはHTMLタグをいじらないときれいにレイアウト出来ない、という場合もありますので、そのあたりの説明と確認は事前にしつこいくらいしておかないといけません。
こう出来るという認識でいた、などクライアントとお互いの認識がずれると後で100%揉めます。

自由の意味をきちんと認識合わせしておかないといけないですね。

更新してページを崩してしまった場合のリスク

いくら簡単だからといっても触ってしまったらいけないところを操作してしまったり、やってみたら崩れたというお話は星の数ほどあります。

十分にテスト運用する時間があれば別ですが、たいていはサイトデザインに注力し、CMSの操作がぶっつけ本番になることが多いです。
そうすると崩してしまうリスクも結構出てきます。

CMS導入してクライアントのほうで更新できるとはいえ、こういった万が一のサポートなどのメンテナンス契約の話も詰めておくと、運用がスムーズかな、と思います。

運用体制、掲載する内容の承認権限など

ニュースの掲載ひとつでも上司の承認許可が必要、などの場合があります。
このあたりの運用フローによってもCMSに承認機能があるのか、通知機能があるのか?など細かい仕様を確認しないと後で困ったことになります。

更新画面が簡易、以前導入したことがあるから、ということだけでCMSを導入してしまうと、運用のフローにCMSの仕様の制約で対応ができないということにもなりかねませんので注意したいところです。だから弊社では自社開発でCMSを作ったという経緯はあります。

自社で開発したものであれば自由にカスタマイズ出来ますので。

レクチャーや講習会が必要か

マニュアルが付いているから、それ読めば誰でもできると思うと大間違いです。
導入当初はマニュアルがあれば覚えられる、と思っていざマニュアルを見てみたら結構覚えることがありすぎて覚える気がなくなった、ということもあり得ます。

当社では実際に更新される方を対象に講習会をやる場合もあります。
というのはマニュアル見ている時間がない、という場合も結構ありますので、実際に1日でも時間をいただき、簡易マニュアルと講習会で一緒にやってみて覚えていただくのが一番確実だからです。

制作会社にとっても後々、マニュアルみてもよくわからない、という問い合わせを受けることを考えれば、レクチャーをしたほうが確実に覚えていただけるのでメリットはあると思います。
———
結局CMSを導入したのに、長時間のサポートが必要となったり、CMSを使って制作会社が更新する、なんてことになると、何のためにCMSを導入したのか、クライアント、制作会社お互いに意味がなくなってしまいます。
出来そうもなければ、普通にメンテナンス契約を結んで更新を制作会社がやったほうがよい場合もあります。

そこのところはプロとしてきちんと見極めて提案してあげたいところですね。

せっかく導入した便利なツールであれば、有効利用して喜んでいただいたほうが良いので。

執筆者:高本

株式会社8bit 取締役の高本です。 社内のWebサービス企画、プログラミングや、売上・請求管理にいたるまで幅広く担当しております。

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