少人数の制作会社で自社プロダクトやWebサービスを作るヒントは受託制作の中にある

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当社ではWebサービスの運営や自社プロダクトの開発を行っています。
同業の制作会社の方とお話しをする機会があると「自社サービスを作りたいとは思ってるんだけど受託制作の合間だとなかなか出来ないんだよね」ということをおっしゃられる方がいらっしゃいます。

現在当社は10人に満たないスタッフで切り盛りしています。
受託制作をメインとしつつ、近年では少し減りましたが自社プロダクトのリリースを続けています。

企画立案からサービスやプロダクトをリリースするのは結構時間がかかります。
確かに受託制作をやりながら、制作を進めるのは難しいといえば難しいです。

しかし、日常業務のほとんどを占める受託制作の中にヒントを見出すことで、自社プロダクトやサービスを生み出しやすくなります。

このブログでも書きましたが、最近keyboxというツールを開発しました。

このツールを開発したきっかけは、ある会社にファイルの不正持ち出しなどがないようファイル管理をもっと強化したい、ということで相談を受けていた中で、プロトタイプ的なものを作ったのがきっかけでした。受託制作でもファイル管理をアクセス制限などかけて、自社のサーバで運営したいというニーズは以前からあったので、それでは、ということでプロダクト化しました。

 

このように、サービス運用やプロダクト開発のために特別な体制を作らなくても、ちょっとした時間やアイデアで新しいものを作り出すことは出来るのです。(売れるかどうかは別として)

 

BtoCのニーズを当てるのは非常に難しい、しかし受託制作はニーズの宝庫

先述しましたが、BtoCのサービスをゼロベースで考えるのはかなりしんどいです。
実際にやってみて分かったのですが、インターフェイス作りからサービス仕様の検討までかなりの手間がかかります。
制作の過程で、少人数でやっている制作会社だと挫折してしまうか、作っているうちにサービス内容の旬が過ぎてしまうなんてこともあるかと思います。(発案者が飽きてしまうこともあります)
しかも、人と時間をかけてリリースしてもほとんど使われない、最終的には飽きられてしまうサービスが大多数です。会社としては結構賭けです。

何よりそんなに簡単に形にできるアイデアが浮かびません。

それに比べると、受託制作はニーズの宝庫です。
こういうものを作って欲しいというニーズから入っているのですから当たり前ですが、サービスやツールのアイデアを発想するには受託制作はもってこいです。
この業界ではこういうニーズがあるんだ、という業界の内部に入らないと分からないようなニーズがありますので、思いもよらないアイデアが浮かぶこともあります。

当社の企業向けのツールはほとんどが受託案件の中のヒントを元につくっています。
会社によっては受託制作部門とサービス運営部門とか企画部門など別れていると思いますが、企画担当者や経営者もきちんと受託制作のニーズを把握しておくべきだと思います。

よく情報収集などをしてアイデアをひねり出そうとする方もいらっしゃいますが、欲しいと言われている受託制作に顔を突っ込んだ方がよほどヒントはあります。

 

BtoCサービスを企画して結果を出すにはそれなりの広告予算と運営スタッフが必要

当社ではBtoCサービスであるノミトモやツクログ、その他Twitterと連動したサービスなどを作ってきました。

まだ収益化とまではいきませんが、売上があがるようになるまで5年くらいかかりました。
広告費をもっとかけて、マーケティングのプロにお願いすれば違った結果になったのかも知れません。
しかし、広告に多くの費用を使えるでもなく、長期的に運営してきた結果です。

もしかすると、広告費などにお金をかけていれば、もっと良い結果が出たかもしれません。
逆に、費用対効果を出せずに、撤退せざるを得ない結果になったかも知れません。

サービスだけに注力せず、何年間も地道に運用していければ良いと思うのですが、サービスだけで食べていこうとした場合、かなりの賭けになってくると思います。
そういう点も踏まえて、当社ではカスタマイズして導入出来たり、受託制作で使えるツール作りに注力を傾けることになりました。

 

自社プロダクトを作ることで受託制作のニーズに応え易くなる

自社でプロダクトを作るメリットとして、受託制作でのニーズにこたえやすくなるという点が大きいです。
自社プロダクトを持っているということで、お声を掛けていただける機会も多少は増えてきますので、お仕事のきっかけは増えてきます。

すでにあるプロダクトをそのまま導入すれば、納期も早いですし費用も落とせます。
今まで新規に開発していただがために、予算と合わずに流れていたような案件もこなすことが可能になります。

すでに出来上がっているプロダクトを持っているということは、受託制作でも多少の強みにはなると思っています。

 

いざ動き出す時のために、エンジニアの空き時間を有効に活用してプログラム検証をしておく

自社でサービスやツールをなかなか作れない理由としては受託制作で人員を割いてしまうというのが一番大きいと思います。

当社では受託でWebシステムを開発する際に、ディレクターによる要件定義からWebデザイン完成までの間、エンジニアは割と空き時間があります。(佳境に入ってくると忙しいのですが)

その空き時間をうまく利用して、まずは技術検証がてらプロトタイプを作っておきます。

この時は具体的に何をリリースしようとは決めたおかず、エンジニアの課題として、受託制作で受けた相談や日常の業務の中で、漠然とこういうことをプログラムで出来たら良いのに、と思ったことを実際にテストプログラムなど作って検証しておいてもらいます。

ここである程度の技術検証をしておくと、後でリリースする用に検討する段階で、技術的なハードルが分かるのと、実装にかかる時間がかなり短縮されます。

 

最後に、当社のプロダクトが爆発的にヒットしていれば、自社プロダクトをヒットさせるコツ、などの記事をかけそうですが、そうでもないので何か作る参考になればと思います。

執筆者:高本

株式会社8bit 取締役の高本です。 社内のWebサービス企画、プログラミングや、売上・請求管理にいたるまで幅広く担当しております。

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