業務用ツールはクラウドサービスではなく、オンプレミス(サーバ設置)型が適していると感じる理由。

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当社では個人向けのWebサービスの他に、企業様へ提供するツールも多く開発しています。

以前は企業向けサービスもクラウドサービスとして提供していたのですが、色々なお客様の声を伺っていると、自社で借りたWebサーバなどに設置するオンプレミス型の方が運用に適しているようだと感じました。

そこで、思い切って昨年からクラウドサービスで月額課金するのではなく、売り切りのオンプレミス型のツールとして一新しました。
クラウドサービスには手軽にすぐに利用出来たりと、利用者にとっても大きなメリットはありますが、企業で実際に利用されている事務の方やスタッフの方の話を伺うと、ツールとして変わらないということが毎日使っていくうえで一番のようです。

そこで、実際にお客様などの声を伺ったうえで、当社が企業で使うサービスにはオンプレミス型が適していると感じる部分を挙げてみます。

 

サービス停止や突然の仕様変更などのリスクがない

クラウドサービスは運用自体をサービス運営会社がやってくれるので、安心してサービスだけを受けることが出来るというメリットは大きいです。スマホアプリに対応しているサービスが大多数なので、使い易さという面ではクラウドサービスは確かに優れています。

しかし、インターフェイスの仕様変更というデメリットもあります。
運用側では改善のつもりだと思うのですが、業務で日常使いするツールこそ変わらないでほしい、というのが実際に使っている方の声でもあります。

 

結局、使い勝手というのは最終的には慣れである。

サービスやツールを使う際に、使いやすさというのを一番に気にすると思うのですが、誰でもが使いやすいツールなんてほぼないと言っても過言ではないでしょう。
ツールの使い勝手は最終的には「慣れ」です。
どんなサービスでも最初は覚える必要があります。それはインターフェイスがどうであっても同じです。

その慣れを、リニューアルなどで勝手に変えられてしまうのが、ユーザーにとっては一番のストレスです。Googleのサービスなどはその傾向が顕著ですが、クラウドサービスの場合は、運営側でより使い勝手をよくするということで、今まで慣れ親しんできたインターフェイスを変更されてしまうというリスクがあります。

Webサービスを使いこなせる人にとっては、改善されたサービスがすごく使い勝手の良いものになるかもしれません。しかし、仕事でしか利用しないような方にとっては、使い慣れたものを再度覚え直すという手間が発生します。

日常業務で利用するのに、これほど迷惑な話はありません。

オンプレミス型であれば、その点安心です。
入れ替えなどやカスタマイズなどを行わなければ基本的にはインターフェイスは変わりません。
厳密にいうと、販売している会社にもよると思いますが、少なくとも当社では安易にインターフェイスを変えることは極力控えています。

日常業務で毎日使うものであるからこそ、変わらないことも大切なのです。

非公開URLで運用が出来、セキュリティー面の強化もしやすい

クラウドサービスで顧客情報などを管理するのは、正直なところIT業界に携わっている自分でも抵抗あります。いくら信頼の出来るサービス運営会社でも情報漏洩のリスクはあります。

その点、オンプレミス型の場合はURL自体を自分たちで決めて運用出来ますので、オープンにしていないURLであれば攻撃のリスクも多少は軽減できます。
また、BASIC認証をかけるとかIPでアクセス制限を掛けるなどして、セキュリティーを強化することも自由にできます。

何より、自分たちの管理下で運用できるというのが安心でもあります。
管理するスタッフがいない、など会社によって事情はあるかと思いますが、安全性という面においては、やはりオンプレミス型で関係者だけが知っているサービス、というのは一番なのではないでしょうか。

 

ランニングコストを調整して運用できる

近年では安価で安いサーバが増えています。
具体的にいうとさくらインターネットのスタンダードコースだと515円で100GBです。
企業内で使用する場合は、一般公開されているWebサイトほど集中的に大きなトラフィックがかかることは少ないと思います。

ですので、安価なレンタルサーバでも十分に運用出来たりします。

もちろん、使用する人数によって選ぶ必要があるかと思いますが、クラウドサービスを利用するよりランニングコストをかなり抑えられる計算になります。

 

運用状況に応じてサーバの引っ越しが出来るのも大きな利点

サーバの容量やスペックを状況に応じて自由にサーバを移行できるのもオンプレミス型のツールの魅力です。

クラウドサービスはサーバの契約などの面倒なことはなく、すぐに使えることがメリットですが、使わなくなったり、やっぱり他のサービスに乗り換える時に厄介です。
他のサービスに変えると、今までの運用データはすべてなしになってしまう可能性も高いですし、運用データをきちんとバックアップできなかったりします。

その点、オンプレミス型のツールであれば、データごとそのまま移行できるので、サーバのスペックだけをレベルアップしてサービスをそのまま使い続けることも出来ます。

 

業務用ツールに求められるのは変わらないこととシンプルなこと

今まで当社では作ったツールをカスタマイズして企業様に納品してきました。
その中で、機能が増えたものもありますが、大抵はシンプルに使う機能だけにして、使わない機能は使わないだけではなく、カスタマイズでお金を払ってでも消して欲しいということがほとんどです。

新しくツールなどの導入する担当者や経営者の方は新しいツールを使いこなすことに意欲的です。
しかし、実際にそれを使って業務を行うスタッフの方は、あまり新しいことを受け入れたくない、というのが正直なところのようです。

日常業務にさらに覚える手間がかかるからです。

それでも、利便性を考えるとWebサーバを経由したサービスの方が将来的にも導入価値はあります。
クラウドサービスにも多くの利点がありますので、否定をするつもりはないのですが、業務で使うツールにおいては、オンプレミス型をお勧めしています。

これからWebツールを導入する企業様の判断材料の参考になれば幸いです。

執筆者:高本

株式会社8bit 取締役の高本です。 社内のWebサービス企画、プログラミングや、売上・請求管理にいたるまで幅広く担当しております。

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