Web制作会社に発注して制作を依頼したけれど、やりにくいので他の制作会社に変更したい、などということで案件のお話しをいただいたりすることがあります。
制作会社を替えたい時の理由はいくつかあると思います。
リニューアルでデザインテイストを変更したい、会社のルールで毎回相見積をきちんと取って業者選定をしないといけない、などなど。
中には後ろ向きの理由もあって、一番よく聞くのが「今の制作会社とうまくいってないから変えたい」という理由。
当社の場合は営業がいないので、出来ればお話しいただいたクライアントとは長いお付き合いをしたいと思っています。では、長く付き合っていくにはどういったところに気を付ければ良いでしょうか?
実際に、クライアントと話しをしていて、「こういう制作会社は使いにくい」などの話はよく伺います。使いにくい、というのは企画力とかデザイン力とかではなく対応面の問題です。
デザイン力、企画力はもちろん大切です。
しかし、末永くお付き合いしていくには、対応面にも気を使いたいところです。
あまり偉そうに書けるような立場ではないのですが、当社で気を付けていることを踏まえて、クライアントにそっぽ向かれないための対応について書いてみたいと思います。
当社にも、まだまだ改善しなければならない点は沢山あります。
お付き合いの内容にもよりけりですので参考までに。
ディレクション
連絡が付かない、返信や対応が遅いメールや電話などの返信含めて依頼したことに対してのレスポンスが遅い。
これはクライアントのストレスとしてかなり耳にします。
「今使ってる業者、ちょっと対応が悪いんだよね」と言われる方のほとんどが技術力とかデザイン力ではなく、対応に時間がかかることに対してストレスを抱かれているようです。
サイト公開後のメンテナンスなどは、依頼したらすぐにやって欲しいというのが発注する側の心情ではないでしょうか?
当社でもまず一番に気を付けているのはこの点です。
ディレクターを通すことでロスがあるのであれば、作業している担当者がすぐに対応して直接報告を差し上げることで依頼から対応までのスピード感は上げるようにしています。
見積書の内容が雑、出てくるのが遅い
対応スピードの中に入るのかも知れませんが、クライアントが社内稟議を通すために早めに見積り金額を提示して欲しい場合があります。
特に代理店様と取引する際には、代理店側で見積書を作成する時間もありますので、スピーディーに見積りを出すことが要求されます。
会社によっては社内承認フローなどもあり、特に社長承認までが必要なケースだと、社長自身が社内で捕まらなかったりで、見積りの提出事態にすごく時間がかかります。
この見積り書に時間がかかると、ゆくゆく依頼する時に腰が重くなってきます。
もちろん、見積りは非常に重要なので、パパッと出すわけにもいきません。
見積書を早く出すには、見積書を作成する人間がサイトの要件を素早く理解して、工数感を把握する能力が必要ですし、社内の承認フローなどももっと軽くしていくなどの改善が必要でしょう。
当社の場合は、私が作ってそのまま出しますので、たまにミスったりしますが、スピードはかなりのものだと思っています。
見積りの内容についても、細かく出した方が好まれます。
一式とかでざっくりとした見積書を提出すると、クライアントもいちいち内容を確認しないといけないですし、実際に作り出した段階で認識のずれが発生します。
見積書を細かく作ることは受発注お互いにとって大切なことです。
細かく作って早く出す、ちょっと大変ですが、クライアントには喜ばれる対応です。
担当者自身がよく分かってなくて話が通じない
何であの人は出てきたの?
打ち合わせなどであまりに話が通じないと、相手にストレスを与え、こういうことを言われてしまいます。
システムでよくある話なのですが、システムがよく分からずに打ち合わせに参加してきて、結局うまくまとめられないパターンです。
不安であれば、エンジニアを同伴するなり、話が分かる人間を連れていく必要があります。
しかし、ここで安心してしまい、ディレクター自身がよく理解していないで、進めてしまうと、いずれにしても窓口としては話が通じないままになってしまいます。
提案や事前確認などのサポートがない
分からないからプロに依頼しているのに。。
制作会社にとってみれば、常識と思っていることが常識ではない場合がほとんどです。
事前に気になるところや注意点などは、こちらから提示してあげることが大切です。
特に追加作業になるようなことを、後から言われるとクライアントは非常に嫌がります。
企業であれば予算を取って制作を依頼しているわけで、作り始めてからの追加費用は社内で稟議を通したり、最悪追加の予算が下りなかったりします。
最悪、追加作業をしないと完成しないような内容になってしまうと大変なことになります。
追加の費用がかかりそうであれば、こういうことをやると追加になる、などの条件をあらかじめ提示するなど一歩先をいったサポートをすることが望ましいです。
クライアントに判断を委ねすぎ
最終的にOKを出すのはクライアントです。
しかし「良いですね!!」「どちらかを選んで下さい!」とクライアントに判断を強く委ねるような対応は結構嫌われます。どちらが良いかを判断するのはプロにお任せ、というのがクライアントの心情です。制作会社にとってみると、リスクヘッジのつもりで、判断をクライアントに委ねるわけですが、これの度が過ぎると、やりにくい、と思われてしまいます。
もちろん、すべてクライアントの合意のうえで進めるわけですが、リスクや提案などを踏まえて判断を委ねると親切です。
デザイン
アイデアや提案がない一般にデザインにはアイデアも求められます。
デザインを依頼する側になると、どんなデザインが出てくるのか期待も込めてワクワクします。
自分の想像以上の期待を求めてしまうところがあると思います。
デザイナーのセンスがクライアントのセンスとマッチして、うまくいっている場合は問題ありません。
ただ、なかなかうまくいかない時や、クライアント自身がデザインの方向性を迷っている時には、デザイナーのアイデアや提案が頼りになってきます。
デザインを進めるに当たり、クライアントが具体的なイメージを持っていなかったり、制作会社のアイデアありきで進めたいと思っている場合も同じです。
よくデザインを進める際に、なかなかデザイン案が通らないと、
「どういうイメージを持っているのか分からない」
「デザインのゴールが見えない」
ということがデザイナーの口からこぼれたりします。
実際に制作しているデザイナーにとっては結構なストレスだと思います。
しかし、クライアントも同様のストレスを感じています。
「もうちょっと何か良い案ないの?」
「もう少し何とかならない?」
プロにお願いしているのだから、何とかしてくれると思ってしまいます。
デザイン制作がうまくいってない時に、「待ち」の姿勢でいるとクライアントも使いにくい制作会社、デザイナーだと思われてしまいます。
なかなか難しいところですが、デザインの進め方など含めて、クライアントをリードしてあげられるようん進行を心がけたいものです。
システム
仕様に矛盾があるのに指摘がない開発が完了して出来たものを見てみたら、登録ボタンが抜けていて、どこからも新規登録できかった。
かなりお粗末な仕様ミスですが、こういう仕様ミスをそのまま作ってしまい、「仕様通り」とするエンジニアが中にはいます。
こういうのはいただけないと思います。
もちろん、開発に集中していて、気が付かないことも多くあります。
(実際に私が開発をしていて、なんで気が付かなかったんだろう、なんてこともあります。)
開発している最中に気が付いた仕様ミスなどがあれば、指摘してあげられる余裕があると良いですね。
どうすれば出来るかの提案がない。
エンジニアの口から「できません」と言われてしまうとなす術がありません。
当社ではみんな温和なのであまりないですが、打ち合わせなどで時々キレ気味に「できない」を主張するエンジニアがいます。
では、どういう形であれば実現できるのか?これを提案するのはエンジニアの役目だと思います。
デザインでもそうですが、手を動かす側からの提案というのは非常に重要です。
提案というと、ディレクターとかプロデューサー的な役割の方の作業と思われがちですが、実際に制作する側の提案がないと、絵に描いた餅になってしまいます。
この「どうすれば出来るか」を当社では一番重きを置いています。
技術的にも費用的にも出来ない、となった場合、クライアントの要望の形にするにはどうしたら良いか、近い形で実現できないか、を模索して提示するのが重要だと考えています。
ちょっと修正するのに時間や費用がかかる。
ディレクションでも挙げましたが、システム面でも対応速度についてはよく聞きます。
時間がかかるものはかかるのでしょうがないです。
システムの改修は、表面から見ている以上に内側は複雑な場合が多いです。
実際に作った人でないと分からない影響範囲などもあります。
私自身、エンジニアも兼ねているのではっきりと言ってしまうと、エンジニアの「時間がかかる」は「面倒くさい」が大半を占めている場合もあります。
多めに工数を見積もることは、制作のリスクヘッジとして非常に大切ですが、その時の面倒臭さの感情で工数を見積もらず、冷静に工数を算出することは大切です。
工数周りについては、ディレクターがエンジニアのいつもの速度などをきちんと把握して、適切な工数を社外に提示出来ると良いかと思います。
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制作をする過程でクライアントとぶつかることも多々あります。
あくまでビジネスなので交渉は必要ですし、飲めない条件もあります。
しかし、クライアントあっての制作のお仕事だということは、要所要所で思い出さないといけないですね。