制作を進めていると、ちょっとした物言いが原因でトラブルに発展することもあります。
Webディレクターなど窓口として立つ人間は気を付けたいところです。
タスク整理とかワイヤーフレームも大切ですが、窓口としてクライアント担当をしている以上、会社の顔です。
制作を発注する際、会社に発注するというよりも、その担当者に発注するという部分も多々あります。
Webディレクターの対応は会社の対応といっても過言ではないでしょう。
出来ればクライアントとは長い付き合い、次につながる付き合いをしたいのは、どこの制作会社も同じだと思います。
技術やデザインセンスも必要ですが、クライアントと良好な関係を保つためには対応力というのが必要不可欠です。
割と当社の場合は、そこ買っていただいている部分もなきにしもありません。
(もちろん技術やデザイン、企画に関しても日々精進しています。)
今回は、資料作りとか現場の整理以外に気を付けたいポイントを挙げてみます。
目次
クライントに一方的な判断を求めすぎない
クライアントの判断を求めることは、現場での進め方としては間違っていません。
あくまでもWebサイトやサービスは受託している以上、クライアントの持ち物であって持ち主の判断というのは絶対不可欠です。
制作の判断で実施したことについては、何かあった時に責任が制作側が負わされる可能性がありますので、防御策としては正しいといえます。
しかし、クライアントからすると、自分たちで判断付かないものに対して「決定をして欲しい!」と言われても、制作会社の方が良いと判断するのであれば、OKとしか言いようがありません。
よくクライアントから不満が出る理由として、「どうしますか?」「いいですね?」と執拗に判断を委ねてしまうこと。
「プロにお願いしているのだから、そちらで判断して欲しい」
「何でも聞かないで、もう少し建設的な提案なりを制作会社からして欲しい」
こういう声を聞くことがあります。
これはディレクターに限らず、デザイナーでもエンジニアでも同じです。
これに関しては、どうしたら良いかは逆にプロである制作会社の方で、提案をして欲しい、と思います。
あまりにリスクヘッジばかりを意識し過ぎて、クライアントの指示や判断ばかりを迫ると、クライアントとしてはやりにくい、使えないディレクター、制作会社だと思われるでしょう。
もちろん、決定権はクライアントにありますが、決定に当たっての提案とそのリスクはきちんと説明したうえで判断を仰ぎたいところです。
確証や根拠のないことをむやみに言わない
○○だと思います。○○だったと思います。
これは私自身の気を付けないといけない部分でもあるのですが、長い付き合いのクライアントにはやってしまいます。
しかし、これを迂闊に言ってしまうと、制作現場が大混乱になることがあります。
出来ると思っていたのに、制作者に確認したら、そんなことは出来ないと言われてしまった。
打ち合わせなどで、予測で話をしてしまうと、把握し切れていなかった影響範囲などが後から発生することも多々あります。
あまりに、すべて社内持ち帰りにしてしまうと、「この人なんのためにここに来ているんだろう」と思われてしまいます。
だったと思うんですけど、「私の勘違いかも知れないんで社内で確認しますね」のひとことがあると良いですね。
交渉や相手に納得してもらう時は断定的な表現をなるべく避ける
クライアントを怒らせる原因となる表現に、断定的な物言いがあります。
例えば、
こちらが正しいことを言ったとしても、相手の心象を損ねると後々ろくなことになりません。
見積りに入っていない作業、仕様変更
ご了承いただけますでしょうか?ご容赦いただけないでしょうか?
こういった表現をするだけでも相手の心象は結構違います。
ちょっとへりくだることで、「ああ、ごめんごめんそうだったよね」など、割と穏便にことが運ぶように思います。
もちろん、断定的な表現を使わないといけないシーンも多々あります。
交渉はクライアントとの関係性や性質によって大きく異なりますが、交渉における表現に配慮する、というのは窓口に立つ人間としては気を付けないといけないところです。
謝る時は謝るけど、謝る時は瑕疵を確認してから謝る
クライアントから猛烈な勢いでクレームっぽいこと言われると、びっくりしてすぐに謝ってしまう人がいますが、これは結構危険です。
私自身も経験あるのですが、よく確認してみるとこちらの瑕疵ではないのに、「すいません」と言ったところで、瑕疵を認めたと解釈して、そこに突っ込んでくる方もいらっしゃいます。
「さっき、すいませんって言いましたよね??それって瑕疵を認めたんですよね??」
言った言わないの世界になってくると、ちょっ
クレームに対しては、いったん落ち着いて話を聞く。
すぐに謝らないで、一旦話を聞いて、社内で状況や今までのいきさつを確認して、自分たちに瑕疵が本当にあるのか冷静に判断する。
そのうえで瑕疵がこちらにあれば、潔く謝罪かつ迅速に対応。
これ大切です。
角が立ちそう、感情的になりそうな時はせめて電話で話を
すごく腹が立った時や、こちらの正論をぶつけようとして、長々とメールを打ってしまうことってないでしょうか。
ビジネスメールは無機質でそっけなくて、時には相手をカチンとさせてしまうことも多々あります。
断定的な表現ともかぶりますが、正論だからといって相手が納得するほど制作は甘くありません。
論理詰めで相手を納得させるのもひとつですが、今後良い関係を築いていきたいのであれば、対応の仕方ってものがあります。
ついつい私もやってしまうことがあるのですが、「ちょっと角が立つかな」「感情的な内容になってしまったかな」という場合は、必ず電話でフォロー入れるなりした方が良いです。
「すいません。ちょっとメールできつい書き方してしまったんですけど」と電話一本入れるだけで、相手もきちんと話を聞いてくれようとするものです。
IT業界に限った話ではないのですが、メールで感情や自分の正論を論理的にぶつけてくる方が多いのは、IT業界の特徴のようにも思います。
それを受けた人がどういう気持ちでその正論を受け取るのか、少し考えて対応するのも窓口の対応としては重要なことです。
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ディレクターというとワイヤーフレーム作って企画書書いてタスク管理してスケジュール引いて、というところがメインの仕事のように思われがちですが、制作会社の窓口としての対応力が問われます。
こういったことは、ディレクションの参考書にも書いてないですし、現場で学んでいくしかありません。
これからWebディレクターになりたい方の参考になればと思います。