受託制作でWebサービスを開発する際に最初に気を付けたいこと。

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当社では自社でWebサービスを企画開発していることから、同じような仕組みをWebサービスを開発したい、などのご相談を受託制作としてご相談いただくことが多くあります。

受託制作で制作するとなると、自社サービスとは勝手が異なる点が多々出てきます。
自社で開発する場合は、方向転換やアイデアを相談しながら盛り込んでいく、など制作・開発の進め方は検討しながら進められます。
制作会社が自社で開発する場合は、技術的なところについても意志疎通が出来るので比較的スムーズに制作は進むのではないでしょうか?
(もちろん、思い付きで簡単に仕様が変わったりするなど、制作者にとってのデメリットも多くありますが、、)

しかし、受託制作の場合は制作費用と納期があります。
クライアントによっては技術的な面について疎い方もいらっしゃいます。
それゆえに意志疎通が出来なかったり、認識違いが起きたりすることもあります。

認識違いから起こる仕様変更や修正などの作業には費用も発生します。
社内で進めるのとは大きく異なります。

特にWebサービスは運営する側のこだわりも多く、通常のWebサイト制作よりも、仕様の変更や方向転換などが発生しがちです。

では、制作を進めるうえで、どういうところに気を付けて進めたらよいでしょうか。
当社で受託制作でWebサービス企画開発を進めてきた中で、一番最初に気を付けたいポイントを挙げてみます。

「それ、最初に言ってよ~。。」
と言われないように最初に確認したいところだけをまとめました。

 

1. 制作に入る際には着手金は必ずいただく

いきなりお金の話になりますが、これが非常に大切です。

通常のWebサイトの受託制作にも言えることではありますが、Webサービスの制作の場合はさらに重要です。
Webサービスの制作だと、すでに企画ベースで出来上がっているものでも、いざ技術的な面に照らし合わせた時に、
「技術的にやりたいことが出来ない」「こういう仕様は無理」などやりたいことが100%実現できない、ということが出てきます。

すると、やりたいと思っていたことが出来ないので、企画自体を止める、という選択肢も出てくるのです。

企画自体がなくなった時、制作会社が動いた分の費用が出る場合と出ない場合があります。
当社では経験ありませんが、場合によってはプロトタイプの制作までやっておいて話がポシャッた(なくなった)なんていう話も聞きます。

自社でWebサービスをやりたいのに、着手金の支払いが出来ない、というような場合は企画自体がまだふらついている可能性もあります。
または、提案ベースで進めて貰って良さそうだったら正式に発注しようと考えている場合もあります。

Webサービスの企画開発というと「面白そう!」などの乗りで提案や企画開発を進めようとする傾向にあります。
受託制作はあくまでもビジネスです。
少なくとも実際に制作や細かい仕様策定に入る際には着手金は必ずいただいた方がよいです。


代理店経由などでお話をいただいた場合には、着手金の支払いが難しい場合もあります。
提案だと割り切れれば良いと思うのですが、エンジニアやデザイナーを動かすことにリスクを感じる場合はお金の話は最初に相談した方がよいでしょう。

 

2. SNSなどの連動については、リスクは必ず確認

最近ではTwitterやFacebookなどのSNSと連携してアカウント登録をしたりすることが多くなりました。
SNS連携に伴い、APIの仕様変更などによるリスクは事前に必ず確認したいところです。

特にWebサービスとSNSのタイムラインを同期して投稿するようなサービスだと、APIの仕様変更によって投稿できなくなったりするリスクもあります。またウィジェットも提供廃止や仕様変更といったリスクを伴うことには変わりません。

リスクを承知のうえで利用するのは全然良いと思うのですが、動かなくなった時、制作会社に瑕疵や無償での対応を問われると制作会社にとってはリスクになります。
SNSアカウントの利用はWebサービスではトレンドですが、リスクに対して理解されていない方も多くいらっしゃいます。

場合によっては制作会社と発注元双方のリスクになりますので事前に注意しましょう。

 

3. 利用規約や個人情報に対してのポリシーは必ず最初に確認

Webサービスの多くはユーザー参加型が多く、少なからず個人情報を取り扱います。
Webサーバに個人情報を持つことになる場合が、多いのですが個人情報の取り扱いポリシーについては必ず、発注元の会社に確認しましょう。

Webサービスの開発は機能やサービスコンセプトなどに頭が向いがちで、サイトポリシーや利用規約は二の次になりがちです。
サービスを運用するうえで非常に重要な内容ですので、一番最初にクライアントに作成はお願いした方がよいです。

リリース目前になって利用規約などを用意していない!ということになると、どこかの類似サービスのものを参考に作成する、などよく確認しないで、焦って作成してしまうような方も見かけます。

クライアントの時間がなくなってくると、制作会社の方で用意してもらってそれを修正する、など制作会社にとって新たな作業が発生してしまうこともありますので、注意したいところです。
ですので、一番最初にクライアントに用意して欲しいものとして充分時間のあるタイミングでお願いしましょう。

 

4. セキュリティー対策の費用も計上する

SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティングなどのセキュリティー対策については必ず費用として別に計上するなどしてクライアントに作業のひとつとして認識してもらいましょう。

最近では各サービスを巡回して、セキュリティー対策が配慮されていないサービスやサイトに対して、対処を行うよう呼びかけている会社(団体?)があります。セキュリティー対策については制作会社によって開発内に入っていたり、何も指摘がなければついつい処理が抜けていて、誰もチェックが出来ていなかった、などということもあるのではないでしょうか。

セキュリティー対策については人によって認識がまちまちで、制作会社にお願いしているのだから、配慮されていて当たり前、という考えと別途費用がかかるのはしょうがない、という方がいらっしゃいます。

セキュリティー対策については開発に当然入っている、という制作会社もあると思いますが、対策をテスト検証する工数なども踏まえると、作業項目として立てておくのが当社では無難だと思っています。

 

5. 仕様の認識合わせは必ず対面で

当社では対面で打ち合わせ出来る距離の企業様でないとWebサービスの企画開発はお断りすることもあります。
Webサービスの開発は作っていく過程で「やっぱりこうしたい」などのことが必ず出てきます。

特にWebサービスは企業や担当者の思い入れやこだわりが多く出てきます。
仕様書などの書面で確認することはもとより、対面できちんと仕様の確認をすることは大切です。

メールベースや電話だけだと、見ている箇所が異なったり、お互いの言葉の意味するところの認識がずれていたりすることもあります。
これが元で揉めることも多々ありますので、仕様上の動きや仕様の確認は対面で一緒にPCを見ながら確認するなど打ち合わせの場を持つようにするとよいでしょう。

もちろん対面で打ち合わせしても言った言わないの話は出てきますので、出来れば議事録をきちんと確認することで認識を確実に合わせながら進めていくことをお勧めします。

こだわりゆえに担当者の思いを汲み取れないと
「そういうつもりでは言ってなかった」「そういう機能のイメージでは伝えていない」
など、認識の違いは特にWebサービスでは多いです。

 

6. 楽しいアイデア出し、それでも機能追加はきっぱりと!

当社のように自社でWebサービスを運営していると、アイデアも含めて求められることが多いです。
制作している人間も嫌いではないので、ついつい「こんな機能あったら面白いですよね!」なんていう話をしてしまいがちになります。

そうすると知らないうちに「じゃあ、それ(機能)も!」なんて軽いノリで決めてしまうクライアントもいらっしゃいます。
しかし、そこは受託制作です。

費用がかかる場合は、言い難いかも知れませんが、機能追加なので費用がかかることをきちんと伝えましょう。
楽しくアイデア出しあっている時は費用のことを持ち出すのが非常に心苦しかったりします。

今までノリノリで話していたクライアントの顔から一片の笑みも消えて真面目な顔になってしまうようなこともあります。
個人的にはこれが一番言い難いのですが、機能追加などはきちんとその場で伝えましょう。

持ち帰っておいて追加の話をすると、クライアントもその時に伝えて欲しかった、と思われるので、話の腰を折る覚悟で伝え勇気が必要です。

 

******

Webサービスやスマホアプリを自社でも運営してみたい、という会社は増えています。
非常にありがたい話ではありますが、当社でも運営しているサービスはいまいち成果が上がらないものの、受託制作でWebサービスを開発したいというご相談を多くいただいております。

もちろん提案見てから決めたい、というクライアント様の方が多いので、提案は提案で行います。
ただ、実制作となると話は別です。

自社で運営している経験を元に運営のリスクと、受託制作で制作することでの自社のリスクについてはきちんと考えて動きます。
受託制作はビジネスなので「面白い」というノリだけでは動けません。

参考までに当社でのチェックポイントを挙げてみました。

最後にWebエンジニアを募集しています!

話は変わりますが、当社ではこんな感じで自社、受託制作ともに開発を手伝っていただけるWebエンジニアを募集しています。
FindJob!さんへの掲載が本日最終日なので、是非興味のある方はエントリーしてください!

https://www.find-job.net/list/j102737.html

執筆者:高本

株式会社8bit 取締役の高本です。 社内のWebサービス企画、プログラミングや、売上・請求管理にいたるまで幅広く担当しております。

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