Web制作マッチングサービスを利用する前に注意したいポイント

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はてなブックマークを見ていたらランサーズの問題が載っていたので、Web業界 受注契約の教科書という書籍の執筆させていただいた私としてもは黙っておれず記事を書かせていただきます。

ランサーズで提案し、キャンセルになったデザインが無断で使われている

このブログのエントリーで書かれている内容についてどちらがどうだということは置いておいて、実際にデザイン流用というのは当社では今までなかった(はず)のですが、他の制作会社の方からはちょこちょこをお話を伺ったことがあります。
当社でも創業当初はWebサービスを作っているだけでは食べていけないのでWeb受託制作の仕事をするべく、楽天ビジネスなどのお仕事マッチングサービスを利用したりしていました。

どうだったかと言われると現在は使っておりません。
案件についても成約した案件は片手で数えるほどでした。

実際にうまく活用されている企業様や個人の方も中にはいらっしゃるようですので、サービスの良し悪しというか、使いこなせなかったもしくは当社の提案内容や料金設定がサービスを活用されている発注者様に合わなかったのだと思います。

制作における料金や制作物のトラブルというのは無形の技術や提案を売っている以上なくならないのかな、なんて思ったりしますがせっかくなので今回はマッチングサービスを当社で実際に使ってみた経験からの所見を書いてみたいと思います。

数年前の話なので参考までに。

 

制作費について

企業としての単価で見積書を提出してしまうと到底割に合わない案件も結構ありますので、予算はきちんと確認して見積りなどを送った方が良いと思います。
もちろん立ち上げたばかりで企業としての実績もないから是が非でも実績を増やしたい、仕事を取りたいという場合はその限りではありません。

当社の場合はWebサービスの立ち上げと運用に力を入れていたこともあり、あまりに割に合わない判断した案件が多かったように感じました。
実際に大き目の案件というのはマッチングサービス経由で来たりすることはあまりないので、その辺りのことを割り切って活用するのが良いかと思います。

 

費用感だけを見たいという案件も多い

マッチングサービスで見積り依頼された方は分かると思うのですが、依頼するととにかく見積りはたくさんきます。
逆に費用感を見てみたいということで、見積りだけ欲しい、話だけ聞いてみたい、という案件がかなり多くあります。

実際に足を運んで話を聞いてみても「まだ、検討中だから動かないけど」「今は動ける段階にはないのだけど」というケースがかなり多いです。

この辺のことは案件によって違うので、実際にアプローチしてみなければわかることではありません。
実際に提案書を作って見積り書を作成してもまったく先方はやる気がない、なんて場合も多くありますので、そこは何度も失敗を重ねて感覚を掴んでいくしかないのかな、と思います。

 

提案レベルでの音信不通は日常茶飯事

これはマッチングサービスに限った話ではありませんが、提案ベースでの音信不通は制作では結構あります。
(多くの制作会社様は経験あるかと思います。)

これは依頼した側がどうこうというよりは、自社でのどの程度の受注角度とみるか、取り組むかという姿勢の問題もかなり大きいと思います。

というのは先方がぼんやりとしたイメージで納期も定まらないような案件であれば受注角度が低いと判断して提案しない、もしくはざっくりした見積りだけにする、などそういう指標を自社で設定すべきかと思います。

 

デザインなどの確認待ちからの音信不通

日常業務でお忙しいということもあり、デザインの提示からそのままフィードバックなどが音信不通になってしまうこともよくあります。
代理店様を経由していると、その辺はつついてくれるので結構楽だったりするのですが、直接の契約ですと是が非でも連絡を取らなければいけません。

デザイン制作までして、やっぱり辞めた、なんていうことも実際にあります。
こういう場合の費用回収などもきちんとやらないといけないので、その辺のことは覚悟しておいたほうが良いでしょう。

当社でも一件だけ確認待ちで音信不通になったので、途中解約ということで清算していただいたことはあります。

 

経験を踏まえて実際に当社で注意していること

相見積もりなのかコンペなのかなどきちんと確認する。

相見積もりを取りたいだけなのか、企画コンペなのかきちんと事前に確認します。
話を伺ったうえで、なんとなく相見積もりを取りたいという場合は概算見積りのみにしてあまり期待しないで次の案件のことを考えるようにしています。

金額と納期を明記した発注書は必ずもらう。

当たり前ですが、発注書はきちんともらいます。
発注書という契約書面に捺印することでお互いにきちんと仕事をしようという気にもなりますので、法的な側面以外にもこれは重要なところです。
この辺をなあなあで進めてしまうと思わぬトラブルになることもあります。

提案についてはデザインは含めない。

案件によってですが、基本的にはデザインは提案段階では制作しません。
代理店様からの依頼でコンペに参加を手伝ってほしいという場合でもデザインは制作費用をいただきます。
実際に企画自体は書面で伝わりますし、それで伝わらないようであれば提案に問題あり、と思っています。

 

最近結構マッチングサービスの営業の方からもご連絡をいただくことが多くなっていますので需要はあるのでしょう。
独立してフリーランスなどでお気軽に始められるのはメリットですが、それ故に認識不足のトラブルなども多くあるのだと思います。

拙著のPRで恐縮ですが、冒頭で紹介したブログエントリーとまったく同じような事例などに対して弁護士の先生が法的な見解を書かれています。
かなり役に立つと思いますので是非参考までに!



 

執筆者:高本

株式会社8bit 取締役の高本です。 社内のWebサービス企画、プログラミングや、売上・請求管理にいたるまで幅広く担当しております。

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