Web制作費のお値引き交渉で注意したいことと考え方。

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Web制作の制作料金にお値引きは付き物です。
費用は出来るだけ安くしたい、そう思うのは制作のみならず一般消費でも同じだと思います。
企業では予算もあるので、何とか予算の中で最大限の仕事をしてほしい、発注担当者にとってもいかに価格を下げれるかは腕の見せ所だと思います。

さて、制作会社にとってみると、この価格交渉というのが結構厄介です。

実際にディレクターなどの現場の人がこういった交渉をするわけですが、制作の人間は得てしてこういった交渉が得意ではありません。
どちらかというと制作に対してすべてのパワーを使いたいと思う人が大半だと思うので、やりたくないというのが正直な気持ちではないでしょうか。

特にWebサイト制作は既製品ではないので料金の考え方や感じ方も人によってまちまちです。
マッチングサービスで破格の予算でアプリ制作やWeb制作を依頼されている方が話題になったりしますが、悪意があるというより、その人・会社にとってはそういう価値感なのだと思います。

異なる価値感の中での交渉なので尚更厄介なのかも知れません。

今回は値引き交渉、費用の交渉が、半ばデイリーワークになっている私の、個人的に気をつけていることを書いてみます。

 

工数や価格にきちんとした説明が出来るように。

制作の費用というのは一般的に見ると曖昧な料金に映るかも知れません。
外部の協力会社へ依頼している場合などは別ですが、そもそも材料費自体がかからず人件費のみなので、それが適正なのかどうなのか、依頼する側には正確な判断が付きません。

結局、交渉が暗礁に乗り上げると、金額の根拠の話になってきます。
ですので、そういった時に実績からの工数なのか、なんなのかきちんと価格について説明できるようにしておかないといけないと思います。

ただなんとなく、、だとそこに突っ込みが入ります。
「これが弊社の価格なんです!」でも良いと思うのですが、細かく作業の項目立てをしているようであれば、それぞれきちんと納得のいく説明が出来る見積書を作成することが重要だと思います。


 

交渉にかかる自分の時間を加味する。

お値引き交渉自体が長引くと、その交渉自体の時間だけで間接工数はどんどんかかっていきます。
ディレクション費という形で計上しているのであれば、そのディレクション工数というのが制作以外の時間でどんどん削られていくわけです。

散々時間かけて最終的に値引きをすると、さらに交渉にかかった工数分の損失が出てくるわけで制作会社にとっては何の良いこともありません。もし失注しようものならまったくの無駄またはマイナスになります。

そういったことも踏まえて、もし想定内のお値引きや端数くらいで許容できるようなお値引きであれば、早めに切り上げて発注をいただいたほうが良い場合もあります。

無理に交渉を長引かせて、数百円単位の値引きをしなかったとしても、結局そこにかけた担当者の時間は会社が捻出していることになります。
ですので、ディレクターが費用の交渉をする際には、自分の時間を意識することが必要です。

時間をかけるメリットがある交渉なのか?あっさり引いた方が得策なのであれば、それもまた判断のひとつだと思います。

 

曖昧な態度が交渉の長期化に。

色々な条件を交渉される度に「いや、ちょっと上の者と相談して、、」という対応をしていると相手にとって言えばなんとかなる、という印象を持たれます。もちろん決定権のない場合に独断で判断できないのでしょうがない場合もあると思います。

しかし、難しいものは難しい、出来ないことは出来ないときっぱり言い切ることは必要です。

もし、自分自身に決定権がなければ決定権のある方とあらかじめ相談しておいて、こう言われたらこう対応するというシミュレーションを用意しておくと良いと思います。

会社でやっている以上即断出来ないことは悪いことではありません。
ただ、色々な条件を打診される度に社内で確認となると、相手もビジネスですので徹底的に交渉してきます。

前述している交渉の時間も大幅に取られてしまい、ろくなことになりません。
交渉の場に出ている以上会社の窓口ですので、曖昧な応対はしないように心がけたいものです。

 

他の制作会社を匂わせるような交渉には要注意。

特に初回の取引などで、値引き交渉の際に他社も検討している、というようなことをしきりに匂わせるようなことを言ってくる場合は注意が必要です。

初めから相見積りという条件でコンペなどに参加した場合は別です。
相見積りなどの条件を言わずに、「もし値引きが難しいようであれば他の制作会社も検討したい」などと言ってくる場合です。

こういった場合、もしかすると作業の段階になって料金外の作業をさせられるのではないか、ということも念頭に入れておくべきです。
というのは、交渉の際に後から色々と聞いていなかった話をしてくるというのは、制作に入っても「○○のつもりだった」ということを言ってくる可能性が高いのです。

すべての人がそうではないと思いますが、これは個人的な経験上そういう傾向にあるので注意しています。

 

制作にバリュープライスという概念は基本的にはない。

ページ数たくさんあるからバリュープライスで頼むよ!という値引き交渉をしてこられる方は結構いらっしゃいます。
一括して修正できるようなリンク修正などであれば別ですが、ページ数が多いからバリュープライス、これは制作においてはありえません。

そもそもバリュープライスというのは既製品が一度に売れて在庫を減らすことが出来るからバリュープライスにする価値があるわけで、1ページ1ページを手作業で作り上げていく制作ではまったく適用できません。

バリュープライスにしてしまうと作業量は変わらないのに料金だけは安くなってしまうので、制作会社にとってはまったく良いことなしです。
ただ、案件をたくさんいただけるクライアントに対してはありだと思います。

バリュープライスとは言わないのかもしれませんが、優先的に制作を回していただけることに対してのお値引きは「感謝価格」で良いのかな、と思います。

 

工数の操作は作業量が変わらない限りご法度。

よく値引き交渉されて金額をあわせるために工数を変更してしまう方がいらっしゃいますが、当社ではこれはNGです。
作業内容が変わるのであれば良いのですが、予算内に合わせたいからという理由であれば値引くにしても「お値引き」という項目をきちんと立てて対応します。

工数を変更してしまうと結局その工数って何だったのか?という話になり、「前回と同様の作業量なんで前回と同じ費用でお願いします」ということになり、結局価格破壊が起こってしまいます。

今回限りの条件でお値引きという項目を立てることで自社の単価や作業に対する工数感覚を守っていくことは重要なことです。

 

値引きするメリットをもらう。

出来れば値引くにしてもただ値引くだけでなく必ず制作会社にもメリットとなるような条件をつけましょう。
何でも良いと思います。

たとえば、
「今月請求出来ることが条件」「校正については2回まで」「支払いサイトの変更」

などなど、ただ単に値引きを加えるのではなく、自分たちにも何かしらのメリットはほしいものです。
特に制作においてはクライアントチェックの時間などで納期がずれ請求もずれるということはよくあります。

経営的には確実にその月に請求を立てられるというメリットは制作においては結構良いメリットにはなると思っています。

 

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企業目線で書きましたが、これはフリーランスの方にも共通していることなのかなと思います。
思いつくことを挙げてみましたが、参考になればと思います。

【PR】契約関係の全般について執筆もしておりますので参考までに。



執筆者:高本

株式会社8bit 取締役の高本です。 社内のWebサービス企画、プログラミングや、売上・請求管理にいたるまで幅広く担当しております。

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