小さなWeb制作会社がつくったBtoB Webサービスで課金が発生するまでにやった8つのこと。

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当社では創業からいくつものWebサービスをリリースしては閉鎖して、ということを繰り返してきました。そんな中で、最近ではBtoBサービス、企業の日常業務で使えるWebサービスに力を入れています。

収益モデルはBtoBサービスですので、広告収入ではなくユーザー課金がメインです。
ありがたいことに、ここ最近でやっと課金してご利用いただけるユーザー様が出てきました。

この記事で紹介するサービスは、具体的にいうと「Grmo(グルモ)」というグループウェアです。
(サービス紹介の記事ではないので、サービスの説明は割愛します。)

グループウェアはすでに大手サービスも多々あり、完全に後発でサービスを開始したのですが、色々な試行錯誤をすることで、やっと課金して利用していただけるユーザー様が増えてきました。
とは言ってもまだまだ月に数件ですので、まだまだこれからですが、課金が発生するまでにここまででやってきたことを、この辺で少しまとめてみたいと思います。

当社は10名に満たない少人数で、受託制作をメインにおり、その中で開発と運営を同時におこなっております。営業という立場で、専属でサービスを宣伝して回れるスタッフもおりません。その中で、受託制作をこなしつつ、出来ることを細々と続けてきました。

個人向けのBtoCサービスも運営しているのですが、企業向けのBtoBサービスは使って欲しいユーザーへのアプローチの仕方が全く異なると感じます。

運営としては6年間くらい続けてきての結果ですので、優等生ではありませんが、同じような体制でこれからWebサービスを運営しようと検討されている制作会社様などの参考になればと思います。


1. シンプルに説明やサポートの必要ないサービスに改修。

Webサービスの運用をしていると、こういう機能もあった方がよい、こういう機能を追加しよう、どんどん機能が増えていきがちです。

機能を追加すること=運用という風に勘違いして考えてしまいます。
下手をすると便利の押し売りになってしまいます。
(BtoCサービスの方では誰も使わない機能を作って結構失敗してきました)

そもそも、大手が参入しているグループウェアをなぜ自社で作ったかというと、お客さまから他社様のグループウェアを使うに当たって、使わない機能を削除するか非表示にしたカスタマイズが出来ないか?というご相談を多く受けており、それなら自社で機能を選べるグループウェアを作ろうということで開発をしました。

しかし、選べることは選べても、やっぱり使わない機能があるのは嫌だ、カスタマイズして導入したい、というご意見をいただき、それであれば一層のこと使う機能だけに絞ってシンプルにしてしまおう、ということで今日にいたります。
(グループウェアとしては最小機能で4つしか機能がありません)

機能をかなり絞ったことで、数あるグループウェアとの差別化も出来ると考えました。
グループウェアにありがちな画面のごちゃごちゃ感も解消してシンプルに改修していきました。

機能が多いと、どうしても操作方法のお問い合わせに対してのサポートが必要になったり、バグの原因にもなります。
当社のように少人数で受託制作をメインにおこなっていると、多くのサポートが困難になるタイミングがあり、そういう意味でも説明の不要なシンプルなWebサービスとして変化していきました。

2. PRサイトを何度もリニューアル。キャッチやコンセプトの見直しを何度もやった。

受託制作で手が空く時間があればPRサイトのリニューアルをおこなうようにしていました。

当社のように少人数で運営していると、PRサイトにしてもどうしても偏った感覚でみてしまいがちになります。
作っている時はそれが一番良いと思っていても、時間を置いてみると何が言いたいのかよく分からない、他社のサービスとの違いやコンセプトが曖昧など、修正する点は多く出てきます。
何度も何度もサービスの良いところや訴求したい部分を見直すことで、サービス自体の改修点にも気が付きます。

思いついた時にどんどんPRサイトを改善していけるのは、自社で運営している強みであると思います。その強みをフルに利用して、機能の改修以上にPRサイトや自社サービスの強みを見直す時間を多く使いました。

SEOキーワードも他社様のサービスなどを参考に、結構研究して改善に改善を重ねてきました。

改修を加えれば加えるほど、日々登録していただけるとユーザー数は増えていきましたので、効果はあったのだと思っています。

3. 企業へのDM配信。

当社には営業担当がいないので、アルバイトの方や手が空いているスタッフで、業種別に企業のリストを作り、問い合わせフォームや公開されているメールアドレスに当てて、ダイレクトメールを送りました。

お察しの通り、こういったDMはほとんど無視されます。
無視どころか企業の資料請求フォームから送信してしまい、お叱りの連絡を受けたこともありました。

それでも、毎回送ると数社反応してくださる企業様がいます。

こちらは訪問する予定はなく送ったメールですが、訪問して説明して欲しいというご連絡をいただくことも多々あります。こういった場合、送っておいて訪問拒否というのも失礼なので、伺うのですがたいていはご購入にはいたりませんでした。
(どんなもんかな?と思って呼んでみた、という感じがほとんどです)

しかし、実際に訪問してお話しを伺っていると、どういうものが欲しいとか、こういう機能があれば利用したいというご意見を伺うことができました。
現状利用している他社様のサービスを元に、機能や価格などどう感じているのかざっくばらんに伺うことができ、それがWebサービスの機能改善に大きく役に立ったと思います。

もちろん、自分たちで日常使いして改善点を検討することは大切ですが、それでも制作チームは作り手の感覚から抜け出せていないので、完全に第三者としてご意見いただけるのは貴重な経験でした。

営業活動としては成果ゼロに近いですが、直接ご意見を伺えるという機会は無駄であったとは思いません。


4. ビジネスニュースサイトやGoogleAdwordsへの掲載。

かなり前の話ですが、ビジネスニュースサイトやGoogleAdwordsに広告掲載もおこなっていました。

広告掲載は一時的に多少のアクセスは増えますが、結果として無料であっても思ったほど会員登録されませんでした。

PRというと真っ先にお金をかけた広告を思いつきますが、出せば良いってもんでもないというのを、実際に広告掲載をしてみて身に染みて感じました。

露出の前にきちんとサービス自体やPRサイトを作り込んでいないと、お金を払っただけになってしまいます。広告媒体がどうこうではなく、当社のPRが下手だったのだと反省しています。
この辺は実際にBtoCサービスの広告掲載をしてみた感じとは結構違うな、という感触です。

最近は広告をうまく使えないので、広告掲載は一切やっていません。

様子を見てそのうち広告掲載も検討したいとは思っていますが、もう少し自分たちだけでできることを模索していきたいと考えています。

5. 目立つ改造やリニューアルをしたタイミングでプレスリリースを配信。

広告掲載でいまいち成果が出せなかったというお話を書きましたが、プレスリリースは工夫次第で大きな効果が出ます。特に無名のWebサービスはSEO効果もありますし、文章やタイトルを工夫して配信すれば思った以上の効果があることもあります。

一回につき、数万円で配信会社にお願いすると様々な媒体に掲載されますので、費用対効果は高いと思います。

ですので、定期的にサービスを改修してここぞ!というタイミングで複数回プレスリリースを打ちました。ちょっと改修しただけで何度もプレスリリースを打ちまくると、うさん臭さが出てきますので、たとえば機能を大幅に削除して、フルリニューアルしたタイミングなどで出します。

同じサービスで3回くらい打ちました。

また、プレスリリースを出すというゴールを定めると、社内でも制作が進むというメリットもあります。当社のように、受託制作をおこないつつ社内のWebサービス開発を進めようとすると、どうしてもタイミングによっては社内サービスの開発は優先度が下がってしまい、なかなか制作がなかなか進まないこともあります。

日付だけのゴールではなく、プレスリリース配信を予約することで、間に合わせないといけないゴールが設定できるので、制作を進めるうえでも役に立ったと思います。

6. PRサイトだけでなく、PDFファイルなど印刷できる資料を用意。

PRサイト上で機能や値段などすべてを説明していると思っても、よくお問い合わせいただくのがプリントできるPDF資料がないのか?という内容です。

何か紙の資料はないんですか?」というお電話をいただくことは多々あります。
企業で利用する時、稟議を通したり、上司に説明するためにはどうしてもプリントできる紙の資料が必要なのだそうです。当社のような小さな会社だと、サイトのURLを送ってもらい「良いんじゃない?」という感じで利用することも出来るのですが、規模が大きな企業様だとなかなかそうもいかないそうです。

基本的にはサービスサイトをご覧ください、というお返事を差し上げていましたが、最近は少しずつPDFで資料を用意し、PRサイトからダウンロードできるようにしています。

資料がないことで、利用を断念するご担当者様もいらっしゃるかと思います。
そういった機会損失はなるべく避けたいと思っています。

7. クラウドとサーバ設置型でサービスの提供形態を何度も模索。

課金までの道のりで一番迷走したのはクラウドサービスサーバ設置型(オンプレミス)かというところです。

リリースした当初はクラウドサービスで提供したのですが、なかなか課金ユーザーの利用はなく、このまま無料で提供し続けて意味があるのか?ということで、売り切りタイプのサーバ設置型(オンプレミス)にサービスの提供形態を変更したりしました。

それでも購入はほとんどなく、サービスそのものの見直しが必要なんだ、というところまで結構迷走しました。

結果としてサーバ設置型(オンプレミス)もニーズは多少あるのですが、インストールや設定などのハードルがあるので、クラウドサービスが良い、という結論に達しました。
現在では両方提供しておりますが、クラウドサービスの課金が圧倒的に多いです。

8. 無料でサービスを提供する代わりにご意見や感想をいただく。

私はこれが一番効果あったように思います。

どうしたかというと、無料期間制限なしで使える代わりにご意見や利用体験談をいただくようにしました。制限なしでご利用いただきたいと思っていただけるということは、前向きなご意見を多くいただけるということです。

その他にもネガティブなご意見から目を背けないように、簡単なアンケートを用意して、退会する方のご意見もいただくようにしました。

体験談については、サービスサイト上にご利用者様の声としてPRサイトに掲載させていただきました。われわれ運営がいくら良いサービスだと謳っても、実際にご利用いただいている方の声の説得力には敵いません。

この体験談を掲載してからぐっとご利用いただくご登録の数が増えていったように感じます。

無料で使っていただくにしても、ただ機能を体験するだけのために解放するだけではなく、きちんと意見なり体験談をいただくことは必要だと思います。


【番外】支払い方法は銀行振り込みのみでも良いかもしれない。

最後に、これはPRとは異なりますが、課金方法について実際にやってみた見解です。

一応PayPal決済(クレジットカード決済)も用意しているのですが、9割以上が銀行振り込みです。

決済というとクレジットカード決済やコンビニ決済、WebMoneyなど色々ありますが、まずは銀行振り込みや比較的導入が簡易なPayPalがお勧めです。
決済サービスは手数料もかかりますし、審査などもあり、導入までの期間が結構かかります。
そこまで時間と経費を使って最初から決済サービスを導入しなくても良いのかな、というのがBtoBサービスを運営してみての感想です。

Webサービスを運用するといっても、サービスによっては課金していただけるようになるまでかなり年数がかかります。

特に当社のように専属で営業やPRが出来るスタッフがいない場合は、本当に時間がかかります。
(もちろん当社の力不足という点も否めませんが)

ですので、まずは経費のかかる部分は極力カットした状態から進めることをお勧めします。

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サービスとしてはまだまだこれからですが、少人数の中で出来るだけお金を払う価値を感じていただけるWebサービスを運営していけたらと思っております。

執筆者:高本

株式会社8bit 取締役の高本です。 社内のWebサービス企画、プログラミングや、売上・請求管理にいたるまで幅広く担当しております。

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