Web制作現場でいうユーザー目線ってそもそも本当にユーザー目線なのだろうか。

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制作の仕事をしているとユーザー目線という言葉をよく聞きます。

制作の現場でユーザー目線というと、インターフェイスに限った話をしていることが多いと思います。
確かに使い勝手という意味で、サービスやサイトを作る際に、ユーザーのことを考えて、ユーザーの立場に立ってみて考えることは大切だと思います。

しかし、そのユーザー目線、本当にユーザー目線なのかな、と思うこともあります。

ある人にとってはそうだけど、ある人にとってはそうではない。
ユーザー目線と語り始めると、制作者同士の主張がぶつかり合うこともあります。

ユーザー目線にどこまで時間を割くか、というのは非常に難しいところですが、制作現場のユーザー目線は迷走していることも多くあると思います。
結局自分たちが、使うであろうユーザーの属性に属していないのに、ユーザー目線に立っても分かった気になっているだけのことも多いからです。

当社でもユーザーの立場になってつもりで、全然立ててなかったりすることも多々あります。
社内、受託ともども、実際にサービスを作ったり運用したりしていると、そういう機会に多く遭遇します。

今回はそんなユーザー目線について制作現場で感じたことを書いてみます。

 

ユーザー目線はユーザーを演じる自分がユーザーの属性に入っていないと意味がない

ユーザー目線というと自分が使う立場になって第三者的にサイトやサービスを見ることを指します。
しかし、その第三者に自分がなり切れるのでしょうか。

例えば、日頃投稿系のサービスやブログなんかをまったく使わない人がユーザー目線に立ったとします。
そうした時によく生まれるユーザー目線が、

「自分が分からないから多くの人も分からない」
「自分が使いにくいのだから多くの人も使いにくいだろう」
というユーザー目線。

すると、

投稿画面をもっと分かりやすく!
Webに疎い人でも投稿できるようにインターフェイスにこだわって!

こうなります。確かにそう考えるのは普通だと思います。

しかし、投稿系サービスなんかを積極的に使う人は、目が肥えてますし、こういったサービスを使い慣れている人が多いでしょう。
どちらかというと大半のユーザーはその投稿を情報として見ているだけ、です。

そういうサービスを構築する際に、まったく投稿に慣れていないユーザーに向けて必死にインターフェイスの検討をしたところで、パワーを使った分だけ使ってくれるかというとそうでもないと思います。割と自己満足でしかありません。


ユーザー目線、客観視というと、Webを分からない人、と置き換えてしまいがちですが、あまりにWebに疎い人、普段Webサービスを使わない人に対して意見を求めてもしょうがないこともあります。
使って欲しいのは、そういう人たちではないのですから。

乱暴な言い方をすると、人気のあるサービスのインターフェイスのどこに魅力があるのかを研究して、自分たちなりにアレンジすれば良いと思うのです。ユーザーが迷うからと言いながら自分たちが迷わないように気を付けないといけません。

そこに時間をかけるよりは、もっと別の場所にパワーを使った方が良いと思います。

 

インターフェイスもそうだけど、まずはコンテンツやサービス内容

最近、SEO対策などでもそういうことが言われています。
小手先の対策より、まずは閲覧する方にとって良質なコンテンツを作ることが最善のSEO対策であるという。

よく制作現場で、ユーザー目線ということで、異常にインターフェイスにこだわって時間をかけるような光景を見ることがありますが、その時間をもっとコンテンツやサービス内容の訴求に役立てた方が良いのではないかと思うこともあります。

例えばゲームは、インターフェイスだけで選ぶ人はあまりいないでしょう。
やはりゲームの面白さ、内容です。

結局コンテンツやサービスの内容に魅力があったり、使わざるを得ないと、何とか使いこなそうとするものです。

制作者としては自分の納得のいく凝ったインターフェイス、画面構成を作りたくなります。
勿論それはそれで大切なのですが、やはりまずは企画とかコンテンツなど、サイトやサービスそのものの魅力が一番だと思います。

 

ユーザー目線としては、問い合わせなど対応などの運用も大切

サイト上にいつも最新の情報が掲載されている。
重かったりせず、いつも快適に閲覧できる。
サービスの使い方が分からない時、サポートに問い合わせをすると、いつも丁寧に対応してくれる。

インターフェイスも大事ですが、使うユーザーに対して、有益な情報や場を保っていけるかというところではないだろうか、ということも重要です。
制作していると、完成度の高い箱を用意することに注力してしまいがちですが、実際に使ってくれるユーザーに対してのもてなしの事を考えるのも、重要なユーザー目線です。

作ったら放って置きっぱなし。
これではせっかくユーザー目線で作ったものも台無しです。

これに関しては、Webサービスを運用している当社としても大いなる課題としています。

 

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ユーザー目線というのは、実際にユーザーの対応をしていると見えてくるものが多いです。
制作する際に、ユーザー目線で見た意見が欲しい時、サービスやサイトの運営やユーザーサポートに携わったことのある方に意見を聞くのも良いかもしれません。

自分たちもなかなか出来ておらず、日々精進中なのですが、こうやって客観視してみると気が付くこともあります。

執筆者:高本

株式会社8bit 取締役の高本です。 社内のWebサービス企画、プログラミングや、売上・請求管理にいたるまで幅広く担当しております。

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