こんにちは。株式会社8bit 高本です。
まったく個人的な記事になってしまうのですが、この度レクシスネクシス・ジャパンさんより発売される「Web業界 受注契約の教科書」という本の執筆に携わらせていただきました。
2013年11月1日に書店の店頭に並ぶ予定です。
現場レベルでよくありがちなトラブル事例と、IT専門の弁護士である藤井先生が法的な立場からトラブル事例に対しての解釈やアドバイスを書いてくださっています。
Web制作業界の方、特にディレクターや経営者の方々には共感していただけるのではないか、という内容になっており、同業の方であればかなり勉強になる本だと思います。
リーガル書という位置付けですが、実際に想定される事例と合わせて法的な解釈やアドバイスが載っているので制作現場の方にも読みやすく、理解しやすい内容になっています。
ということで、今回は本書の内容を紹介させていただこうかと思います。
Web業界 受注契約の教科書 Textbook for Business Contracts in the Web Industry
この本は私の書いた第1部と藤井先生の第2部の2部仕立てです。
各部のポイントを紹介させていただきます。
目次
1部:Web制作のよくある現場トラブル満載!
まずは第1部では、Web制作の現場で現実的にありえそうな、Web制作業界の方には「そうそう!」と過去の怒りや悔しさを再び思いださせてしまいそうな事例を数多く挙げております。ですが、2部まで読んでいただければ溜飲も下がるかと思います。
本書の半分くらいがトラブル事例ですので、これでもかってほどトラブっています。
(あくまでフィクションの事例ですので当社がトラブっているわけではありません。)
参考までに目次の一部だけ紹介させていただきます。
第1章 契約成立・作業開始時のトラブル
・取引先企業から提示された契約内容をよく確認せず鵜呑みにして契約してしまった。
・企画提案から携わったが、発注者が制作段階で急に「制作会社を変える」と言い出した。
・発注書にサインしたのに「案件がなくなった」と言われ、請求にも応じてもらえなかった。
・企業間コラボをしようと話を持ちかけられデザインまで作ったのに、連絡が取れなくなってしまった。
第2章 作業内容変更・業務外作業のトラブル
・制作段階で想定していなかった修正や追加作業が後付けされた。
・無報酬で予定外の深夜、休日の対応を迫られた。
・スマートフォンサイト制作で実機での閲覧について納得してもらえない。
・サイトリニューアルに伴い制作会社変更のための引継ぎ作業を要求された。
第3章 検査・瑕疵のトラブル
・クライアントの確認が長引き、「サイトを公開するまで請求は受けられない」と言われた。
・「デザインに納得できないので、制作費は支払えない」と言われた。
・不具合、修正が重なり、納品完了後にクライアントのチェックにかかった工数分の費用を請求された。
・外部サービスを利用したWebサイトで、外部サービスの不具合について制作会社に瑕疵を問われた。
こんな感じで8章まで様々なジャンルのトラブル事例が続きます。
我々のWeb制作はゼロから電子データで制作物を作るわけで、それゆえのトラブルは後を絶ちません。
プロジェクト頓挫、制作物流用、クレーム、責任瑕疵、料金外作業、制作費未払い、納期延滞
などなど実際に想定される色々なトラブル事例を挙げております。
ただ、トラブル事例だけでなく、実際に制作現場に携わってきて感じたこと、法的な解決ではなく現場での交渉の仕方などもコラムとして書かせていただいておりますので、その辺も踏まえてお役に立てればと思っています。
特に制作現場のディレクターの方、これから起業、フリーランスなど独立しようとされている方にはお役に立てるかと思います。
トラブルなんてそんなに頻繁に発生していたら、仕事になりませんし、会社としても成り立ちません。
起きる前に起こりえることを知っておくことに損はないと思います!
2部:IT弁護士の藤井先生による法的根拠に基づくアドバイス
ある意味2部がこの本の目玉です!このブログでも見積もりや利用規約のことなどちょこちょこと書かせていただきましたが、はっきり言って私の書いていることは法的根拠に基づいているわけでも何でもありません。
本書では私の挙げたWeb業界の制作過程や制作後によくあるトラブルに対して、弁護士の藤井先生が法的根拠に基づいて回答してくださっています。
回答形式で答えていただいていますので、「では、法的にはどちらに分があるのか?」といった落としところがきっちり書かれています。
「こんなことがあった場合はこうしたほうが良いでしょう」、みたいな制作業界の方のアドバイスの書籍は割とよく見かけます。
ですが、弁護士の先生がIT関係、しかもWeb制作のことについて具体的に書かれている本はあまりみたことがありません。
実際に読んでみると「こう思っていた。」「これは契約違反ではないか?」など、現場レベルの人間の判断は法的にはまったく間違っている判断であったりする場合があることが良く分かります。
企画段階より、この部分については私自身も大いに参考にしたいと思っており、とても役に立つ内容だと思っています。
勢いよく1部を書かせていただいたのですが、藤井先生の2部を拝読させていただくと、ことごとく自分の認識違いや勉強不足を指摘されているようで、恥ずかしく感じる部分もあるくらいです。
実際に弁護士といってもITというとWebサーバなどの基本的な専門知識やサービス内容を理解してもらうところから入ります。
そういった意味でITに特化した弁護士先生がいかに今の時代必要なのか、ということも考えさせられました。
個人的にも「こういうの待ってました!」と言わざるを得ない内容です。
漏れなく契約書ひな形が付いてきます!
この本にはCD-ROMで藤井先生が作られた各種契約書などのひな形サンプルが付いてきます。よくネットで転がっているフォーマットでも良いかと思いますが、きちんとIT弁護士の先生がご経験に基づいて作られているものなので、今から起業される方、フリーランスで独立される方にも最適です。
探す時間考えたらこの本買ったほうが良いでしょう!
確実に入手出来る書店
・丸善ジュンク堂主要店(渋谷、丸の内、池袋、吉祥寺、川崎)
・新宿紀伊国屋本店
・至誠堂書店(霞ヶ関)https://ssl.shiseido-shoten.co.jp/index.php
・Amazon
・hontoネットストア
初回の発行部数は多くないので扱っていない書店もあるかも知れません。。
そんな時は是非注文してください。
初めて執筆をさせていただいて
今回書籍への執筆を初めてやらせていただいたのですが、なんといっても文字数が決められている所に対して文章を書くという大変さを感じました。ブログなんかも文章量など特に決まっていませんし、プログラムコードだってステップ数は決まっていません。
台割の時点から携わらせていただいたので、ネタとして用意するのはそれほど苦ではなかったのですが、多くても少なくてもいけない文章量の範囲の中で、お題に対して文章を書くというのは結構大変な作業でした。
しかしながら、文章を書くことの楽しさも分かりましたので、また別の機会などあれば是非書かせていただきたい!などと勝手なことを考えております。
Web業界にいながらなんですが、やっぱりWebよりも紙のほうが有り難味を感じてしまいます。
装丁について
当初企画段階では装丁のお話は出ていなかったのですが、せっかくの機会なので「当社にて装丁をやらせていただけないか?」という相談をさせていただき、弊社のデザイナーが装丁を担当させていただきました。WebデザイナーなのでDTPデザイナーの方から見ると、拙い部分もあるのかもしれませんが、個人的には気に入っています。
リーガル書という位置付けなのですが、あんまりカチカチな法律書っぽいデザインだと、この業界の人は見向きもしてくれないんじゃないかと思って、どちらかというとWebの専門書っぽい感じでデザインしてもらいました。
11/1には店頭に並ぶ予定ですので、ひとりでも多くの方に読んでいただければ幸いです。
この本は漫画化しても面白いかもしれません!