Webサイト制作におけるユーザー目線について

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先週から桜が満開ですが、今週もぎりぎりお花見いけそうですね。

さて、お花見シーズンにも関わらず、どこの制作会社さんも、この時期は期末なので受託案件も忙しいかと思います。
当社も例外ではありませんが、受託案件ばかりをここ最近やってきて「ユーザー目線って難しいなあ」と考えていました。

制作しているとよく聞く言葉だと思います。
ユーザーインターフェイス、アクセシビリティー、いかに使う側になって考えられるか?

このユーザー目線というのが制作の過程ではよく議論の中心になっていて、

「エンドユーザーまで見れていないじゃないか!」
「自分の感覚でなくてユーザー目線で見ていかないと!」

なんてことが熱く議論されたりします。

そうは簡単に言うけれども、ではそもそもユーザー目線ってなんなの?っていうことを自分なりに考えてみました。

そもそも誰の目線が正しいのか?

実際にWebサービスなどを運営していてクレームやご意見をいただいたなどの実体験のある人でないと、エンドユーザーのことを意識するのは本当の意味でなかなかに難しいと思います。
(確かに聞いたり、書籍などで見知ったことで理論つけることは出来ますが、正直ふたを開けてみないと確信なんて持てないと思います)

ユーザー目線を考えるとき、人間狭いものでユーザー目線と言いつつ自分の実体験に基づいた考えや解釈であったりします。

「自分だったらこうする。自分ならこれは見ない。」
「今のネットユーザーは見てないですよ。」
「この導線をここに置いて、、、、」

こういったことは自分の中の価値感や解釈もかなり出ています。
ですので、「いやそうは思わない」という人がいた場合議論になります。

でも、クライアントから出てくるのは

「文字が小さい。」
「文字がにじんでいるようで見難い。」
「色が薄い。」
「ボタンが押せるのかどうか分からない。」

などなど制作側の議論している内容に比べると表面的で些細なこととも感じるような内容です。

でも、ターゲットにもよると思うのですが、これがごくごく正直な意見だと思います。
サイトにもよりますが、実際に見ている人がそんなに難しいこと考えるわけもなく、見やすい見難いというのはまさに純粋なユーザー目線なのだと感じます。

よくWebにちょっと疎い方、普段見慣れていない方のことを、素人とかウェブリテラシーが低いなどと仰られる方もいらっしゃいますが、むしろそれが本当の意味でのユーザー目線なのではないかな?と思ったりもします。誰が正しいというのは公開してのお楽しみ、ではあるのですが、クライアントの方のちょっとした意見っていうのはかなりユーザー目線なのではないかな?と思います。

むしろ毎日仕事でWebを見慣れている我々こそ、クライアントの感想に耳を傾け、我々の感覚を疑ったほうがよいのかも知れません。
慣れているというのはある程度予測がつくということで、もしかすると本当にたまにスマホでサイトを見ているような大多数のユーザーの感覚から遠ざかっているのかも知れませんし。 。

クライアント目線

よくWebサービスを運用していくには自分が好きでないと、と言われますが、まさにWebサイトはクライアントの持ち物になるので、クライアントが納得して好きになってくれないと長続きはしません。
Webサイトを実際に運営していくのはクライアントであり、受託制作であればクライアントの持ち物になるのです。

自分たちがあまり良いとは思ってないけど制作会社にユーザー目線でこういうサイトになった、と提案されたからという理由で運用した場合、ユーザー目線の当てが外れて期待の結果が出なかった途端にこのサイトに不満が募ります。
(だから言っただろ!と言われるのは目に見えています。)

でも自分たちも信じて良いと思ったものであれば愛着もありますし、「ではどうしたら良いか? 」という次の思考に持っていけるはずです。

確かにエンドユーザーの想定も大事ですが、まずは目の前の依頼者に好きになってもらえる、使いやすいと自信を持ってもらえるところからユーザー目線を始めた方がよいのかな、と思います。
エンドユーザーエンドユーザーって言いますが、目の前のユーザーをまずは攻略しないとですね!

ユーザー目線と理解していないのは違う。

制作をしていて思うのは、制作側で「ユーザー目線」を語るには、まずは仕様や技術的な背景を理解してから語るべきだということです。
よく仕様を理解していない、わからないことを「ユーザー目線で見ると」という言葉で表現されているのを聞いたりすることがありますが、制作している中でこれはいけないです。

クライアントであればまだしも、少なくとも制作しているメンバー内でユーザー目線云々の話をするのであれば、まずは仕様をきちんと理解する。
制作側の人間がユーザー目線で見る、というのは仕様や技術的な背景を理解したうえで、それがユーザー目線で見た時にどうなのか?を分析できなくてはいけないと思うのです。

「仕様や操作方法が分からない、理解できていない=ユーザー目線」
ではないと思うのです。これは単純にそのプロジェクトに参加していなかった、ことに他なりません。

制作や開発している人間は仕様を理解していないのか、本当にユーザー目線なのかは一発で分かります。
ディレクターなどをやられている方は気をつけたいところです。

制作者として関わっている以上、技術的な面を含めて理解したうえでユーザーの目線に立てると素晴らしいですね。

ユーザー目線の前に。

制作においてサイトのユーザー目線も大切ですが、日頃の対応もユーザー目線で考えていかないといけないと思います。
例えばサイトのことはよく語るけど、資料は汚い、レスが遅いなどなど。

制作に当たってこういう対応はクライアントもストレスですし、そもそも目の前のユーザーに気を使えず、満足させられていないのに、遠くのユーザーのことを語られても信じられませんよね!

*********

ユーザー目線ってすごくよく使う言葉ですが、それを理解して実際に結果に出すのは難しいです。
(分析、考察することは大切ですが、正直、出してみないと誰にもわからないんじゃないかと思います。)

WebサイトやWebサービスはコンテンツが面白かったり、自分にとって情報が有意義であれば、インターフェイスが多少分かりにくくても理解しようと努力しようとするものです。

最近Webサービスを運用していて思うのですが、インターフェイス云々よりも、障害の対応が早いとか問い合わせのレスが早いとか要望を聞いてくれるとか、そういうところにユーザーは満足していただけるようです。クライアントでもすばやく対応すると、喜ばれますよね。

本当の意味でユーザー目線って上っ面だけでなく、そういった対応部分も含めて長い目でみないといけないですね。

言うは易く行うは難しです。

執筆者:高本

株式会社8bit 取締役の高本です。 社内のWebサービス企画、プログラミングや、売上・請求管理にいたるまで幅広く担当しております。

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