Web制作をしているとお客様と我々制作側の認識が異なり、ちょっとした揉め事になったりすることがあります。
当社でも時々ありますが、揉め事の発端は制作側では常識だと思っていたけれど、発注者が感じている常識は異なっていた、という常識のすれ違いがほとんどです。(言葉の使い方の食い違いなどもありますね。)
そういうことは制作側からちょっと気にして確認しておけば良い話ではあります。
ですが、「そのくらいは常識でしょう」ということでよく確認せずに、最終的に揉め事に繋がってしまうのです。
制作の「この位のことは、、」という常識がいつだってそうではないのです。
そこで今回は、我々制作側が常識として事前確認をスルーしてしまいがちな、Web制作における制作側と発注側の常識の食い違いについて書いてみます。
そんな事確認するのは当然だろう、と思われる方はそっと本エントリーを閉じてください。
(そう思われても時々漏れてしまうものです。)
4月から新しくWebサイト制作に携わる方の参考になればと思います。
目次
どんなブラウザでもすべて同じに見えるという常識
バージョンが古かろうが新しかろうが、ブラウザの種類は何であろうがすべて同じに見える筈という常識です。ある程度分かっている方であれば、ブラウザのバージョンや製品が異なれば当然見え方も変わってくることについては理解してもらえますが、それが分かっていただけない場合もあります。
極端に思えるかも知れませんが、そんなことはありません。
自分のPCでいつも使っているブラウザで他所のサイトは見れるのに、制作してもらったサイトは崩れてしまう、ということは、何も説明しなければ不具合と思われて当然です。ブラウザのバージョンの話をしても、きちんと見れるサイトがあるのに自分のサイトが崩れているという事実に対して納得出来ないという方も中にはいらっしゃいます。
ですので、最終的にサイトの承認をされる方の環境についても事前にチェックしておいた方が良いでしょう。
仕様でブラウザの環境を定めても社内的に決裁権のある方の環境が対応していない環境だった場合納得してもらえないようなこともあります。
後で直したり追加費用の交渉をするのであれば最初に確認しておいた方がストレスはお互いに少なくて済みます。
最近のブラウザには表示の拡大、縮小機能が備わっており、目の悪い方は100%より大きな表示をされていることも多くあります。
そのうえで崩れを指定されることもよくあります。
基本的に100%しか保証出来ないようなレイアウトの場合は事前に一声かけておかないといけません。
ブラウザの種類もバージョンも同じだし、どうしてお客さんの方で見ると崩れるんだろう、と思うと表示の縮尺が原因だったりすることはよくあります。
どこの制作会社でも制作する前に閲覧環境の確認はするかと思いますが、バージョンだけでなく縮尺などについても確認しないといけないでしょう。
ブラウザでダウンロードしたファイルはそのまま開けるという常識
エクセルやワードのドキュメントをダウンロードした際に多いのですが、そのまま開ける場合とSSLの警告が出てそのまま開けなかったりする場合があります。制作側にとってみると「環境に依ります」としか言いようがありません。
ですが、こういうことも発注者にとってみると、「どうしてこっちは開けてうちのサイトは開けないんだ!」となります。
ダウロードファイルの扱いはブラウザによっても異なります。
たくさんのドキュメントなどにリンクしたページを作る際には事前に説明して、注意書きをサイトに入れるなどの配慮はしてあげたいところです。
見た目通りに印刷できるという常識
当社でもよくあるのが印刷の問題です。背景画像などを使っていると印刷オプションで背景も印刷する指定をしないと真っ白になってしまいます。
制作側としてはWebサイトは印刷するものではなく、印刷オプションで指定すれば良いのだから不具合ではないと考えます。
ですが、印刷ボタンを押せば見た目そのまま印刷されるのは、Wordドキュメントなどでもそうなのだから常識だろう、という方も多くいらっしゃいます。
最近ではJSなどでアニメーションを付ける際に背景画像を使うことも増えておりますので、制作前にひとこと確認したいところです。
我々制作者は「それはもう背景画像使うしかないんだからしょうがない。」と考えていても、「印刷されないとは聞いていない。」というのが発注側の考えです。
確かにそう言われるとその通りなのかも知れません。
印刷の話は制作側の常識と発注側の常識大きく違うのだということをWeb制作をしていると実感することが多々あります。
Webサイトを公開すればすぐに検索エンジンにヒットするという常識
サイトを公開もしくは修正したらすぐに検索エンジンにひっかかると思っていらっしゃる方も多いです。公開しても誰も見てくれなかったら意味ないじゃん!という気持ちは痛いほど分かります。
検索エンジンに反映されるまで数週間とか言われても、待てないよ、という気持ちもよく分かります。
なので、これも制作前にきちんとお話しておかないといけません。
検索エンジンの反映目処までもスケジュールに入れておくとちょっとは発注者の気持ちも楽になるかも知れませんね。
キャッシュという常識はない
ブラウザキャッシュが溜まっていて、更新が反映されないということが時々あります。制作している人は、「ああ、またキャッシュだな」と思い、「キャッシュを消して確認してください」などと連絡するものです。
しかしキャッシュという概念を持たれていない方は大勢いて、「キャッシュをどこで消せば良いの?」という質問を良く受けます。
また、更新したら表示が更新されるのが当たり前で、キャッシュが溜まるということ自体に理解を示されない方もいらっしゃいます。
ですので、いくら制作者がキャッシュがキャッシュがと言ったところで話が通じないこともあるでしょう。
キャッシュをクリアしてから見れば大丈夫、というのは制作側の都合で、実際に見ている人はいちいちなんでそんなことしなきゃいけないんだよ!と思っていることを頭の片隅に置いておいた方がよいでしょう。
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制作をしているとレイアウトやデザインやシステム仕様などの話に意識が向きがちです。
挙げたようなことは些細なことなのですが、全部作った後に指摘されると、最悪な場合はコーディングを大幅にやり直すはめになったりします。
我々Web制作側の人間は分からない人に対しての説明がまだまだ甘いという面もあるように思います。
「そのくらいは分かってて欲しい」「少しは勉強しておいて欲しい」というのが制作の本音です。
ですが、分からないからプロにお任せしている、という認識で発注されている方も多いです。
お客様が神様とは言いませんが、クレームなどは制作側にとってもストレスも工数もかかるものなので、意識して事前に確認しておきたいものです。
サポートや細かい説明が必要なお客様の場合は、そっとディレクション費を乗せさせていただくことも検討してみても良いでしょう。