制作業界の残業が多くなるメカニズムについて

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当社は残業をほとんどしないという文化の会社ですが、制作業界全般でみると、かなり残業が多いようです。
4月から制作業界に入る予定の学生さんの中にはドキドキされている方も多いと思います。

私自身、制作会社やシステム会社に在籍していて、プロジェクトが炎上したりすると、どうしてこんなことになったのかな。
タスク的には帰れるのに、なんでみんなそんなに会社に残ってるのかな、と疑問に思ったことが多々あります。


当社は基本的には、定時であがれるよう仕事を調整しています。
もちろん、定時以降も必要に迫られれば対応しますが、基本的には時間を区切って仕事を管理しています。

そうすると、みんなが毎日22時過ぎとか終電近くまで、なんて作業する必要はありません。
では、どうして残業が発生してしまうのか。

そのメカニズムを分析してみたいと思います。

制作以外の間接的な時間が多く、作業を時間で区切らない

やる気があって良いとは思うのですが、ディレクターの中には残業好きな方が多いように思います。
もちろん、本当は嫌いだけど、やるべきだからやっているんだ、という反論もあるでしょう。

しかしながら、もう少し効率よく作業を割り振るなどすれば、作業する人の残っている時間も減らせるのではないかと思います。
実際、ディレクターの指示を待っている間に、作業がすることがなく、SNSで遊んでいたりするような光景もみられます。

要するに指示を出す人間の作業効率が悪く、本来どんどん制作を進めるべき人の手が動かせていない。
制作以外の間接的な時間が増えれば増えるほどスケジュール的には厳しくなっていき、納期があるので残業が増えていく、という構図をよくみかけます。

また、作業についても営業時間を過ぎてもどんどん対応してしまい、時間の区切りをつけない。
結果的に制作をする人間はディレクターが区切りをつけるまで、なかなか帰って良いのかよくないのか分からない。
帰ろうとしたら「ちょっと待って」と修正を依頼されて、残される、こういった悪循環になってしまうのです。

すべてが制作管理するディレクターのせいではありませんが、制作進行する役割の人がきちっと時間を管理出来ないと、なかなか残業というのは減らないのではないかと思います。

SNSなど遊んでいる時間も多い

SNSは情報収集ツールとしても使えますので、Web制作業界では必須のツールになっています。
ただ、情報収集できる反面、面白い情報も飛び込んできますので、ついつい追いかけてしまい、知らない間に仕事とは全然違う世界に引きずり込まれてしまったという経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

会社にいるのが好きな人は、SNSで軽く遊びながら仕事をしても支障はないかと思いますが、残業したくない、定時に帰りたければネットサーフィンやSNSはなるべく自粛した方が良いかと思います。
人間8時間みっちり集中して仕事するのはなかなか難しいので、息抜き程度であれば問題ないと思うのですが、誰かとやり取りなんかを始めてしまうと、コメントが来ているかとか、返信しなきゃ、なんてそわそわしてして仕事どころじゃなくなってきてしまいますし。

上司がなかなか帰らない、誰も帰ろうとしない

今までの個人的な経験上、これが結構大きいと思います。
私自身、複数の会社で勤務した経験がありますが、やはり上の人が帰らないと帰りにくい雰囲気はあります。

上司や先輩がバリバリ残業している中で、いくら自分の仕事が終わったとはいえ、先に帰ります、とはなかなか言い難いです。
特に制作の場合は、集中して作業していると、話しかけられないオーラが出てくるものです。
人間、自分が忙しいと、帰れるなら少しは手伝え、ずるい!くらいの気持ちは芽生えるもので、帰りにくい雰囲気というのは必然的に出来てくるものです。

実際、どこの会社でも、上司が帰った頃合いを見計らってから帰ることが多いように思います。
当社では私が一番に速攻で帰ると、それから10分後くらいに皆さん帰っていくようですので、この推測はあながち間違いではありません。

ちょっと乱暴ですが、役員なんかは勤務時間というのは特に決まっていないので、家に持ち帰って仕事した方が会社の残業自体は減るのではないかと思っています。

出勤時間がまばら

制作業界ではフレックス制度が導入されており、出社する時間がまばらな会社が多いです。
結局どうせ遅くなるから、前日終電近くまで作業をしていたから、ということで出社する時間が遅くなる、今日も帰りは終電近く。
こういうサイクルが多いようです。

制作はチームで行うことが多いので、始業時間にきっちり来たから自分だけ定時に帰る、というわけにもいきません。
遅く来た上司や先輩が遅く作業をし始めて、定時以降も指示を出してくる、なんていうこともよくあります。

こういうのが、実際の制作現場の負の連鎖であったりします。

逆に早く来た人が早く帰れるような環境だと、育児をしているような方でも働きやすいのではないかと思います。

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とはいえ、当社は残業は基本的になくすようにしていますが、仕方のない残業もあると思っています。

仕方ない残業

例えば、その日に納品しないといけないデザインやコーディングが終わっていない。
日程的にはゆとりがあったはずなのに、デザインがまとまらない、バグが多いなどで、納品に間に合わせるために残業せざるを得ない。

そんな残業は自己責任ではないかと思います。
もちろん、自分以外の要因でスケジュールが厳しくなることもあります。

ただ、自分のミスや力不足については、残業してでもやり遂げることが必要です。
自分のミスを棚に上げてまで、残業を悪という考えでは制作業界はやっていけないと思います。

残業や徹夜の経験は必要なのか?

私なんかも時々話すのですが、過去の残業や徹夜の話。
こういった話をすると老害と揶揄されがちですが、会社によっては徹夜出来てなんぼ、という会社もあります。

徹夜や残業はうまくいってないからしないといけないので、基本的にはマイナスであり、そこに意味はないかと思います。

ただ、ちょっと前向きに考えると、スポーツでいうところのトレーニングとしてはちょっとは効果あるかと思います。
あの時乗り切れたから、今回も頑張れる、という自分自身の自信につながる場合もあります。

苦しいことがあるから楽しいことがある、と考えるとあながち無駄でもないかもしれません。
しかし、それを他人に勧められるかといえば、私はそうではないかと思います。

 

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制作は残業しないこと、定時に帰ることがゴールではありませんが、無駄な勤務時間を減らしていくことは、会社にとってもプラスになることも多いです。
残業が多いことに、疑問をもって分析してみると、プロジェクトの進行や制作での問題点なども見えてくるかも知れません。

執筆者:高本

株式会社8bit 取締役の高本です。 社内のWebサービス企画、プログラミングや、売上・請求管理にいたるまで幅広く担当しております。

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